日本の十八番とも言える高速カウンター。
これは、伊東純也が右のアウトサイドのポジションを獲得してから日本の武器に磨き上げられた感がある。
スピードを武器に無名の選手からフランス1部リーグへ
伊東のスピードは、持って生まれた才能だ。逗葉高校時代は、目立った活躍ができず、強豪大学からのオファーがなかったが、神奈川大学での実技入試で見せたスピードに監督が「これはモノになる」と確信し、合格させた。
技術は高くはなかったが、スピードという武器で大学サッカー界を席巻した。当時、他の選手のスカウトに来ていた強化担当が伊東のスピードに圧倒され、すぐに獲得を強化部に打診。2015年にヴァンフォーレ甲府に入団し、翌年には柏レイソルに完全移籍を果たした。
その後、2019年にはベルギーリーグのヘンクFCに移籍し、欧州でのプレーを実現させた。2021-2022シーズンには16アシストでアシスト王になり、年間最優秀ゴール賞も獲得。フランス1部のスタッド・ランスへの移籍を勝ち取った。
高校から大学まで無名の選手で技術も足りていなかったが、自分の最大の武器をどう活かしていくのかを考えて、伊東は着実にステップアップしていったのだ。
「これから攻撃面をどう構築していくか」
このシーズン、伊東はカタールW杯を経験した。
ドイツ戦、スペイン戦、決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦はスタメンで出場し、コスタリカ戦は途中出場ながら全試合に出場。スペイン戦では堂安(律)のゴールをアシストして、クロスの精度の高さを見せた。だが、クロアチアに敗れた後は、「本当に悔しい」と顔を歪ませた。
「W杯でやれない部分はなかったと思います。ただ、ゴールを取りたかったです。最後の1対1の勝負で勝ったところで、どう行くのか、そのフィニッシュのイメージがもっとあればと思うので、そこはこれからの課題だと思います。
チームとしてはドイツ、スペインに勝ちましたけど、わずかな差ではなく、大きな差がありました。自分たちは、ああいうサッカー(引いて守って速攻)をずっとやりたいわけではないので、これから攻撃面をどう構築していくか、でしょうね」
伊東だけではなく、堂安も久保(建英)も攻撃陣の多くは、堅守速攻だけのサッカーではベスト16よりも先にはいけない難しさを感じていた。伊東は、それを構築するためにさらに個の能力を磨いて行った。スピードを維持しつつ、クロスの精度、シュートレンジの幅を広げるなどの能力を高めていった。

