上田綺世ここにあり。その存在を見せつけたのがチュニジア戦だった。まずは、日本が1-0とリードした31分。板倉滉からの縦パスを受けた上田が、相手ディフェンスラインの動きを見極めながら冷静にタイミングを測り、ペナルティエリアの右外から強烈なシュートをゴール左隅に突き刺した。ゴール後上田は両手を顔の前で合わせ、何かに祈るような仕草で静かに喜びを噛み締めた。

 2点目はすでに3-0となっていた82分、右サイドから佐野海舟があげた折り返しに、ゴール前でフリーになった上田は頭で合わせ、高い技術力で得点を奪った。この時は両手を大きく広げ、やはり静かに得点を喜んだ。

上田綺世 ©JMPA

「前回の大会での悔しい思いをようやく晴らせた」

 試合後は「ほっとしてます。ありがとうございます。前回の大会で悔しい思いをしたのでそれをようやく晴らせた気がします」と話した。

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 前回のカタールW杯ではドイツ、スペインに勝利したことで日本中が沸いたが、上田はこの2試合に出場機会なし。敗れたコスタリカ戦に45分出場したのみだった。歓喜の波に乗ることはできなかった。そんな上田も今回はエースとして期待が寄せられ、しっかりとそれに応えた。安堵も当然だろう。

 だが上田は活躍に安堵している場合ではないかもしれない。今や移籍情報ではどのメディアよりも正確と言われるサッカージャーナリストのファブリツィオ・ロマーノ氏が「上田はイングランドプレミアリーグもしくはドイツブンデスリーガからアプローチを受けている」とXにポストしている。昨季オランダリーグ得点王が、4大リーグで活躍する日は遠くなさそうだ。

©JMPA

 上田が欧州に活躍の場を求めたのはカタールW杯前の2022年夏だった。鹿島アントラーズからベルギーのクラブブルッヘに加入。34試合出場18得点の活躍で、翌2023/24シーズンはオランダの名門フェイエノールトにステップアップを果たした。移籍金はフェイエノールトのクラブ史上最高の900万ユーロとも言われ、ロッテルダムの地元ファンやメディアからも大きな期待が寄せられた。だが、このシーズンはリーグ戦では26試合出場で大半が途中出場、5得点2アシストに止まった。もちろん加入したシーズンに5得点というのは決して悪い数字ではないが、何しろ期待が大きかった。