「来たか、ついに来たか」長友投入を後押しした“意外な存在”
「来たか、ついに来たか、と。4年間このためにやってきたから」
長友は武者震いした。だが、ピッチに立った時の感覚は「興奮してて、覚えてないです」。2010年から足掛け17年、5大会目になるW杯のピッチは、やはり特別なものだった。
森保ジャパンの採用する3-4-2-1システムにおいて、中村や長友がプレーするウイングバックというポジションは、最終ラインから前線までサイドを走り抜く、持久力と運動量の求められるポジションだ。4バックにおけるサイドバックよりも走力、スタミナの求められるのが特徴で、だからこそ、39歳の長友は限界ではないかという論調も一時は強いものだった。だが、このタフなポジションで長友は5大会目のW杯出場を果たした。しかも、下手に攻め込んで失点を喫するのではなく、失点を避けながらできれば1点が欲しいという難しい時間帯だった。
後半の日本は、メインスタンドから見て左側のゴールに向かって攻めた。長友のプレーする左サイドは両ベンチ前を走る。つまり、ベンチからの声がダイレクトに届く距離でのプレーとなる。前半であれば逆サイドだったが、このベンチ前が左サイドになる時間帯だったことが長友を勇気づけた。
「チームメイトも必死でね、ベンチでめちゃくちゃ声かけて応援してくれたので。もう魂の叫びかってくらいに後輩たちが後押ししてくれて。エグいくらいのサポーターが近くにいましたよ(笑)」
後輩たちはサポーター、そんなことを言えるのは長友くらいだ。
だが、後輩たちに勇気づけられたことは、ベンチを温めることの多い長友にとっても気づきとなった。
「なんか、僕が思っていたことは間違ってなかったんだなと」
ベンチを温めることの多い長友は普段、ちょっとやりすぎではと思うくらいに熱くピッチに声をかける。その行為の重要性を確認できた出場となったという。
「ベンチから僕も『彼らを後押ししたい。選手に勇気を与えたい』『絶対に孤独にさせない』と思ってましたけど、その気持ちが彼らに響いてたんだなと。それを彼らが逆に体現してくれたんで」
しみじみと、感謝を噛みしめた。
