「特ダネを提供するよ。俺が家出した女を殺したんだ」――新聞社に舞い込んだ不気味な一本の電話。男が告げた「完全犯罪」の舞台は、静まり返った夏の高校の屋上だった。
昭和33年、高度経済成長へと向かう日本を震撼させた「小松川女子高生殺人事件」。IQ135を誇る優等生は、なぜ冷酷な凶悪犯へと変貌してしまったのか? 鉄人社の新刊『高度経済成長期の日本で起きた37の怖い事件』よりお届けする。(全2回の1回目/続きを読む)
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「特ダネを提供するよ。女を殺したんだ」
大島渚監督の1968年(昭和43年)公開の映画「絞死刑」は強姦致死罪で死刑判決を受けた在日朝鮮人の青年“R”を主人公に、死刑制度の是非や在日朝鮮人問題を描きだした作品である。映画の題材となった実際の事件がある。1958年(昭和33年)、東京都江戸川区で女子生徒が殺害された小松川女子高生殺人事件。犯人は当時18歳の在日朝鮮人の男子高校生だった。
事件は1958年8月20日午前10時15分新聞社社会部に入った1本の電話から始まる。
「特ダネを提供するよ。俺が家出した女を殺したんだ。死体は小松川高校にある。被害者はね…江戸川区平井のAさんっていうんだ。小松川高校の穴に投げ込んできた」
若い声の男が言うには、江戸川区平井に住むAさんなる女性を絞殺し、都立小松川高校に死体を遺棄したのだという。電話を受けた記者はすぐに小松川警察署に通報。捜査員が捜索したものの、同校に「穴」(地下室と考えた)はなく、遺体も発見されなかったことから、電話はいたずらと処理される。
翌21日、小松川署に「学校の屋上の穴に死体を捨てた」と具体的な位置を示す電話が入り、そのとおりの場所で腐乱した女子高生の遺体が発見される。

