特殊詐欺や強盗などで日本を震撼させた、通称「ルフィ事件」。グループの源流とも言える、渡邉優樹が率いた特殊詐欺組織は2020年、“かけ子”と呼ばれる実行部隊のメンバーでさえタワマンに住むような絶頂を迎えていた。

 当時のようすについて、ノンフィクションライター・栗田シメイ氏の著書『檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち』(講談社)から、一部抜粋してお届けする。

書籍より

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莫大な金額が、詐欺グループの元に集まった

 2020年末から、組織の月の売り上げは4億円近くになった。稼ぎ頭のA箱ともなると、ピーク時でひと月に2億5000万円を詐取する集団へ変貌していた。

 先述のカジノスキームで渡邉の手元に来たカネを、小島がエクセル表に基づいてメンバーたちに分配していく。渡邉は全体の30~40%程度を報酬として得ていた。1つの案件で7000万円を稼ぐ藤田海里や、5000万円クラスの案件を獲得する山田や熊井のようなかけ子も“育って”きた。

 組織のカネを管理する立場だった小島は、すべてのメンバーへの支払い金額について把握していた。この時期には、かけ子でさえ500万円近い月収を得る者も現れている。幹部クラスになると、月収は2000万円に届いたという。

組織の構造(書籍より)

 2020年3月にボラカイ島に渡って以降も、組織は拠点を次々と移した。2020年の10月から3ヵ月間は、北部に位置するルソン島のアンティポロ。2021年の3月からは、マニラから車で3時間弱の距離に位置するパンパンガ州アンヘレスのコリアンタウンに事務所を移す。

 渡邉や小島、藤田は基本的にマニラを拠点とした。2020年7月にマニラに戻って以降、幹部たちは再び贅の極みといえる生活を送る。渡邉はカジノに入り浸り、小島もひたすらに遊び尽くした。渡邉は小島や藤田の権限をより大きくして、自身は土地転がしにも手を伸ばした。