今振り返れば、狂気の沙汰だ。だが、当時の私は、この申し出こそが新しい人生への扉を開く鍵だと信じて疑わなかった。

「髙倉さんが愛子を信頼しているなら、愛子も喜んで助けてくれますね🤗高倉さんは愛子を信頼していますか?」

 ここで「はい」と答えさせるのが女の目的だった。共犯者に仕立て、断れない状況を作る―この一言がすべてを決定したのだ。

ADVERTISEMENT

秘密という名の檻

 5月14日からの一週間、私の人生の歯車は軋み始めた。

写真はイメージ ©getty

「兄さんは暇な時に20分間自分のゴールド口座を開設して、伯父が愛子を指導する時、兄さんも一緒に勉強できるようになりますね🌈🌈兄さんはいつ20分時間がありますか?」

 いつの間にか、私は「兄さん」と呼ばれていた。その呼び方が関係を親密に感じさせ、私は喜んで誘いに乗った。

 約束の日、書斎でスマホを握りしめ、アプリを検索・ダウンロード。遠隔指示に従い、メールや個人情報を入力する。頭のどこかで警報が鳴っていたが、信じたい気持ちが勝った。口座開設後、女は決定的な言葉を放った。