現職の首長では初めて産休に入った八幡市長の川田翔子さんが、芦屋市長の髙島崚輔さんと共に、文藝春秋の対談企画「有働由美子のマイフェアパーソン」に登場。その一部を紹介します。

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バブル世代の口癖

 有働 お二人とも超がつくエリートで、バリバリ稼いでいる同級生も多いかと思います。そんな中で、お金のためより人のためという首長の仕事を選んだ理由は何ですか?

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 川田 そもそもお金にはあまり興味がなかったです。大学生になる頃から、様々な社会問題の解決のために原因を突き止め、制度を変えて改善していくことをライフワークにしたいと考えていました。さらに大学の先生から「政策は社会の処方箋である」という言葉をお聞きして。

いきなり互いへの牽制を始めた両市長に有働氏も爆笑 Ⓒ文藝春秋

 有働 処方箋?

 川田 根本的な治療薬みたいなものだというお話で、すごく腑に落ちたんです。1人でできることは限られていますが、政策を打って制度を変えることは最も多くの人を救える手段なのではないかと。一方で副作用が出る可能性もあるので、そこを見極めながら社会の仕組みを変える仕事をやりたいと強く思いました。

 有働 多くの人を救いたいと思うようになったのはなぜでしょうね。

 川田 原体験が二つあります。一つは両親が典型的なバブル世代で、口癖のように「あの頃はよかった」と言うのを聞いて育ったこと。

 有働 バブル世代、言いがち。話したくなっちゃうのよ〜(笑)。

 川田 「学生の頃は大学の前に外車が並んでいて」とか、どんな時代だと思って(笑)。同じこの国でたった数十年前に現実にあった出来事なのに、今との違いは何だろうと。日本のまちや経済をもう一度元気にすることがなぜできないのかという疑問は、私の原点としてあります。

 有働 その疑問を解き明かしたいということですか。

 川田 そうです。もう一つは、弟に知的障害があること。そういう子への教育的支援が不十分で両親が苦労する姿を見てきたので、福祉をはじめ行政支援の大切さと難しさを実感したのは大きかったですね。

女性として史上最年少で市長となった川田八幡市長は5月に産休を表明 Ⓒ文藝春秋

 有働 髙島さんはどうですか?

 髙島 パーソナルな原体験でいうと、弟が2人いまして。一番下は9歳離れているので、生まれたての状態から「寝返りを打った」「しゃべるようになった」といった成長をずっと見てきたのは非常に大きかったです。実は、私はこの仕事を政治と思ったことはなくて、行政の仕事をしたくて選んだし、さらに言うと教育分野の仕事だとも捉えています。

 有働 育てる相手は誰?

 髙島 市民です。「育てる」と言うと上から目線でちょっと違うのですが。私は、市民一人ひとりの可能性を広げる環境整備が、役所の仕事だと考えています。人の成長を支える仕事がしたい。その根底にあるのが、弟の成長を見たことなんです。