1ページ目から読む
3/3ページ目

石破氏「民主主義のあり方について伺いたい」に安倍首相は……

石破茂 元幹事長
「政府から出てくる数字が実際と違っていたり、撤回したり、そういうことで本当にきちんとした情報を提供したということになるのだろうか」

産経ニュース 9月14日

安倍晋三 首相
「安倍政権において、さまざまな文書の改竄(かいざん)と行政をめぐる問題で、国民の不信を招いてしまった。これは私の責任なので、改めておわびを申し上げたい」

産経ニュース 9月14日

©文藝春秋

 公開討論会で「民主主義のあり方について総裁のお考えを伺いたい」「民主主義をさらに有効に機能するための総裁のお考えを承ります」と質問した石破氏に対して、「言論の自由がしっかりと保証され、報道の自由が保証され、全ての国民がしっかりと正確な情報に接する権利を行使できる。そういう社会を作っていくことが必要」「政府を担っている以上、さまざまなご意見やご批判に真摯(しんし)にお答えをしていく。(中略)正確な情報を伝えていくことが求められている」と回答した安倍首相。

ADVERTISEMENT

 ただし、「報道の自由」に関しては9月7日の総裁選告示の直前に自民党から「内容、掲載面積などについて、必ず各候補者を平等・公平に扱って下さるようお願いいたします」という内容の通達を新聞・通信社に送っている。琉球新報は社説で「報道機関を萎縮させる狙いがあるとすれば悪質だ。国民の『知る権利』を脅かすメディアへの不当な介入であり、決して看過できない」と厳しく批判した(9月4日)。

統計上の所得が高めに出ていた厚労省の「毎月勤労統計調査」

 また、公文書の改竄などの諸問題が解決したとは言い切れない中、厚労省が発表している賃金関連統計である「毎月勤労統計調査」の作成手法が今年に入って見直され、統計上の所得が高めに出ていることを西日本新聞が報じた。大和総研の小林俊介氏は「統計ほど賃金は増えていないと考えられ、統計の信頼性を疑わざるを得ない。報道や世論もミスリードしかねない」と指摘している(9月12日)。また、内閣府が作成する統計「雇用者報酬」も過大に推計されている可能性が高いことが報じられた(西日本新聞 9月13日)。

「正確な情報」はどこへ行ってしまったのか? 「私の責任」とは何を示しているのか? 総裁選での安倍首相の優位は動かないと思われるが、発言の内容は精査が求められる。