壁を叩くとコンクリが落ちてくるほどの欠陥建築だった

 O社の技術者は、驚愕の事実をこう語った。

「コンクリートの打設不良で、締め固めが甘いと、表面に『あばた』とか『す』と呼ばれる小さな穴や斑点状の模様や、むき出しの砂利が現れます。その欠陥箇所は『ジャンカ』と呼ばれ、モルタルが充塡されておらず、スカスカの状態なんです。

 当然、コンクリートが本来持っている荷重を支える力が足りないので、耐震強度が低下し、危険です。とくに柱や梁などの構造部材にジャンカがあれば大きな弱点になります。南大沢のあの現場は、ジャンカが底なし沼のように深く、建物全体に広がっていました」

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(同前)

 改修技術者は話をつづけた。

「部屋の内壁にジャンカがあったお宅で、そこの奥さんに立ち会ってもらいながら、検査のためにスカスカの壁の表面をノミやハンマー、電動工具を使って削り取りました。削っても削ってもスカスカで、とうとう穴が壁を突き抜けてしまったんです。見ていた奥さんは、『ああーー、空が見えた』と言って、その場で泣き崩れました。こっちも辛いですよ。

 ある工事業者が、このあたりは欠陥がありそうだな、とマンションの屋根の下の壁を腰にぶら下げていたハンマーでコツンと叩いたら、コンクリのかたまりがドサッと落ちた。施工不良も甚だしい。工事をチェックする監理も機能していなかった。

 部屋の内装を剝がすと、施工中にやり直した箇所がたくさん見つかったのですが、砂や砂利を混ぜて打設すべきところにセメントに発泡スチロールを混ぜた軽量モルタルを打ちまくっていた。それって、ひび割れを抑えるやり方です。修復とはほど遠い。悪質さを感じました」

 建物検査が進むにつれ、大量の施工不良が見つかった。重大なジャンカが発見された約40戸の住民たちは、賃貸住宅への仮移転を強いられる。1戸あたり往復の引っ越し代50万円、休業補償25万円、家賃十数万円、毎日の交通費は、すべて公団が負担した。公団は全面的な補修と被害が大きな20棟の建て替えへ追い込まれていく。

次の記事に続く 「史上最悪の欠陥マンション」はなぜ生まれてしまったのか? 東京八王子『ベルコリーヌ南大沢』関係者が明かす“杜撰すぎる建設エピソード”

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