「改憲をやりてぇんなら」
麻生の国民民主連立入りの大義は政権の安定に加え、憲法改正だ。折に触れ高市に「改憲をやりてぇんなら、国民民主党を取り込まないといけねぇな。玉木はなんだかんだと御しやすい」と伝えている。高市も4月12日の自民党大会で「時は来た。(改憲)発議に何とかメドが立ったと言える状態で、来年の党大会を迎えたい」と意欲を表明。改憲は史上最長の在任期間を誇る安倍晋三元首相も成し遂げられなかった「偉業」だ。
麻生にとって改憲は祖父、吉田茂元首相の政治的遺産継承の集大成でもある。吉田は安全保障で米国に依存し自衛力は限定的な整備に留め、経済復興を優先する「吉田ドクトリン」で知られるが、将来的な改憲を否定していたわけではない。麻生は祖父が成し遂げられなかった改憲を自らの手で行い、自衛隊を憲法に位置付けたい考えだ。
だが、麻生の狙いは改憲だけではない。高市を支える名目で5月21日に発足した自民有志による議員連盟「国力研究会」でも、高市を蚊帳の外に置き、発起人をはじめ主要メンバーの人選を差配するなど政権内の影響力確保に余念がない。
衆院では自民党単独で3分の2以上を占める一方で、参院では連立パートナーの維新19議席に対し、国民民主は25議席。自民会派の101議席に国民民主を足すだけで過半数の125議席を上回る。国民民主が連立入りすれば、維新より発言権を増す可能性が高い。
麻生は維新と政策面で近い部分があるが、大阪の地方政党に過ぎないとの思いも強い上、接点はほぼない。一方、国民民主とは政策面で近いだけでなく、民間産別を取り込めるメリットがある。榛葉や古川元久代表代行と秘かに酒席でやり取りするなどパイプも太い。必然的に麻生が政権の主導権を握ることとなる。自民幹部は「国民民主党の連立入りが整えば、最終的に維新を切ってもいいと思っているのでは」と麻生の胸中を推測する。
※約4500字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年8月号に掲載されています(赤坂太郎)。

