自民党を大勝利に導いた高市早苗首相は、麻生太郎自民党副総裁に、衆院議長就任を繰り返し打診していたという。その真意とは?(文中敬称略)
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衆院選での勝利を確信した1月下旬から、高市は麻生太郎自民党副総裁に衆院議長就任を繰り返し打診した。この人事は、安倍晋三政権で首相補佐官兼政務秘書官を務めた今井尚哉内閣官房参与の発案とされる。
「麻生を衆院議長に」の狙い
安定的な皇位継承に向けた皇室典範改正と、党是とする憲法改正に向けて「実力議長」が望ましいというのが表向きの理由だ。ただ、これまで三権の長である首相と衆院議長の両方を務めたのは、幣原喜重郎だけ。幣原の首相就任は大日本帝国憲法下の大命降下によるものであり、現行憲法下で首相と議長に就任した例はない。
真の狙いは、麻生を“封じ込める”ためだ。麻生は党内で唯一残る派閥を率いており、消費税減税にも慎重な態度を崩さない。そもそも衆院解散にあたって、高市は解散の記者会見当日まで、麻生には直接は伝えていなかった。
麻生も高市サイドの狙いは百も承知だ。打診にまんざらでもない表情を浮かべる場面もあったが、衆院選投開票翌日の2月9日、党本部で高市と向き合い、「ありがたい申し出だが、お断りする。300議席以上となり党内に目配りする必要がある」と固辞した。代わりに、麻生派事務総長の森英介元法相を推薦し、高市も受け入れざるをえなかった。
“高市人事”の矛先は、衆院議院運営委員長の浜田靖一、党国会対策委員長の梶山弘志の首にも向けられた。
浜田は昨年の臨時国会で、野党の反発を考慮して与党提出の衆院議員定数削減法案の審議入りに後ろ向きだったからだ。さらに、高市と違って選択的夫婦別姓の導入に前向きなことも背景にあるとされる。
だが、官邸筋は「最大の理由は衆院本会議場の閣僚席での『水飲み』問題だった」と明かす。昨年の臨時国会で首相サイドが閣僚席での水分補給を要望したところ、浜田は答弁の際には飲めるのだからと、従来通りの運用を譲らなかったのだ。実際に、浜田から山口俊一元沖縄北方担当相に交代するや、2月20日の議運委理事会で閣僚席での水分補給が認められた。
