2月8日の衆議院総選挙で、解散まで衆議院の予算委員長を務めた枝野幸男氏(中道改革連合)が落選した。解散前、高市早苗首相は「予算委員長を替えられないの?」と、周囲に何度もこぼしていたとされる(文中敬称略)。

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 通常国会の冒頭解散案は、昨年12月に浮上し、消えたはずだった。

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 国民民主党が賛成を明言して、来年度予算の年度内成立のめどがたった2025年の年の瀬、当面は政権の安定が約束されたかに見えた。しかし、総理大臣・高市早苗の心のうちはどこか晴れなかった。

解散について会見する高市首相 Ⓒ時事通信社

 高市は自民党総裁選で勝利するも公明党が連立離脱。日本維新の会と連立を組むことでなんとか総理大臣に指名された。強い政権基盤を築くには、やはり解散総選挙に打って出て国民の信任を得る必要があるとの思いを、拭い去れなかったからだ。師と仰ぐ安倍晋三が7年8カ月にわたって政権を維持できたのは、解散戦略に長けていたからに他ならない。ただ自民は昨年7月の参院選後、石破おろしと総裁選で3カ月もの政治空白を作っていた。まずは臨時国会で物価高対策としてガソリン税の暫定税率廃止と補正予算を成立させる必要があった。

解散スケジュールを決めたとされる今井内閣官房参与 Ⓒ時事通信社

 臨時国会の後、安倍政権で首席秘書官を務めた内閣官房参与の今井尚哉ら側近は高市に進言した。

「もし国民民主との三党連立が成立したら、総選挙の勝敗ラインは『三党で過半数』になる。となると総理が目指す自民単独過半数は狙いにくくなる。もし選挙に打って出るなら、その前がいい。1月16日に通常国会を召集して冒頭解散すれば、1月20日公示、2月1日投開票が可能。これなら来年度予算を年度内に成立させられる。解散宣言から投票日まで通例4週間は必要なので、1月5日の年頭会見で宣言するスケジュールでどうですか」

 高市の心は揺れた。党では副総裁の麻生太郎や幹事長代行の萩生田光一が三党連立を目指して汗をかいている。麻生は周囲に息巻いていた。