国対委員長の梶山について、高市は臨時国会で野党に譲りすぎだと不満だった。特別国会では2026年度予算案審議をスピードアップしたい。高市は衆院選直後、鈴木俊一幹事長に「萩生田光一幹事長代行を国対委員長にしたい」と持ちかけた。鈴木は「新人議員も増えて、萩生田がいないと新人研修も含めた党のガバナンスに不備が出る」とにべもない。諦めきれない高市は萩生田に「鈴木さんに断られたので、自ら国対委員長に名乗り出てほしい」と直談判。ところが、萩生田も「梶山さんが悪かったわけではなく、少数与党だったから仕方のないこと。梶山さんに取って代わるのは申し訳ない。与野党の調整には汗をかくので」と固辞した。
木原官房長官の強硬姿勢
それでも予算審議の短縮方針を譲れない高市は、2月13日に梶山、萩生田、松山政司参院議員会長、石井準一参院幹事長、磯﨑仁彦参院国対委員長ら、国会運営のキーマンを官邸に呼びつけ、予算の年度内成立を目指すように指示した。解散総選挙で審議入りが1か月遅れており、国対関係者は4月30日前後の予算成立を想定していた。国会は前例踏襲で動く。第二次安倍政権でも予算案は衆院で80時間前後は審議しており、「土日も審議しない限り、非現実的な指示」(国対関係者)だ。
だが、旗を振るのは世紀の大勝利に導いたジャンヌ・ダルクだ。政策を実現するスピードを最優先する高市は、世論もそれを望んでいると信じて疑わない。「国民生活のため」との正論に対して、国会運営の常識など旧弊でしかない。衆院選後、政府内で存在感を高める官房長官の木原稔も「予算案に反映された高市路線は選挙で民意を得ている。与党大勝でマインドのリセットが必要だ」と強硬姿勢を崩さない。
※この続きでは、高市政権の行く手に潜む“落とし穴”を解説しています。約4700字は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年4月号に掲載されています(赤坂太郎「ジャンヌ・ダルク高市の政治ベタ」)。
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