日本三大花火大会のひとつとして知られる長岡花火。しかしその背景に、空襲で焼け野原となった街の記憶があることを、どれほどの人が知っているだろうか。長岡花火を舞台にしたアニメーション映画『君と花火と約束と』の企画プロデュースを務めた梅澤道彦さんが、制作の背景を語った。
花火に刻まれた復興への願いを伝えたい
──なぜ「長岡花火」だったのでしょうか。
2017年にはじめて長岡花火を見に行きました。有名な花火大会ということしか知らずに行ったのですが、じつは空襲で多くの方が亡くなり、焼け野原になった街の復興を願う意味があると知りました。「これはただの花火じゃないんだ」と感じ、忘れ去られつつある戦争の記憶を風化させないためにも、長岡花火で何か企画を考えたい、と強く思いました。
──はじめからオリジナルアニメにしようと?
そうですね。既存のキャラクターを使うという考えははじめからありませんでした。もちろん、有名なキャラクターを使えば広く届くとは思います。でも、それではこの題材の重さや繊細さがぼやけてしまう気がしたんです。2025年の戦後80年の節目という狙いもありましたが、ストーリーとして面白いものができれば、映画化も考えられる。原作の真戸香さんに相談して、ストーリーからオリジナルで考え始めました。
──キャラクターデザインやキャスティングのこだわりも教えてください。
キャラクターについては、頭の中になんとなくイメージがありました。そこで、いろいろなイラストレーターさんの作品を拝見して、登場人物のパーソナリティにぴったりのイラストを描いていたあかもくさんにキャラクターの原案をお願いしました。
優しそうで、でも芯はしっかりしている誠のイラスト原案を見て、「誠役は佐藤勝利さんしかいない」と思いました。顔も似ていましたし、それ以上に声質、佐藤さんのもつ瑞々しさや一生懸命さが「まこつ」に重なったのです。声優経験がないことは承知していましたが、それでも挑戦してほしいとお願いしたところ、「ずっとアニメーションの仕事がしたかった」とオファーを受けていただきました。
──アフレコ初挑戦となる佐藤さんの「まこつ」は、いかがでしたか。
イメージ通りでした。ただ、予想はしていましたが、スケジュール調整は大変でした。煌を演じた原菜乃華さんやほかの声優さんも、みなお忙しいので、今回はほんとうにお一人おひとり調整する形でなんとか録りきりました。



