近年、住宅地や農地など、人里へのクマの出没が相次いでいる。時にその凶暴性を剥き出しにして人に襲い掛かるクマに遭遇した時、我々はどう対処すればよいのか。総力取材で明らかになった、クマの恐るべき実態とは?
「草むらに親グマと2頭の子グマがいたんだ」
秋田市から約120キロ北上した鹿角市。昨年10月2日午前9時半過ぎ、同市市議の宮野和秀さん(76)はクマと遭遇し、揉み合いとなった。現場は十和田大湯の住宅街にある自宅から車で3分程の山中に入った畑だった。宮野さんが語る。
「休日に孫娘が栗拾いをできるように、下に落ちた栗の様子を見ていたんだよ。そしたら30メートル先の草むらに親グマと2頭の子グマがいたんだ」
宮野さんが大声で威嚇すると、親グマは猛然と突進してきた。宮野さんは手に、栗の入ったプラスチックの赤いバケツを携えていた。
「目の前に来たクマが立ち上がる前に、横からバケツで鼻先をバンと殴ったんだ。その後に腹を何度か蹴ったがフニャフニャしていて手応えがなかった」(同前)
すると親グマが立ち上がった。「逃げればやられる」と思った宮野さんはクマの喉元に入り込んで無我夢中で殴ったが、そのまま覆いかぶさるように倒された。クマの背丈は160センチ以上あるように思えた。
「重さは100キロにも200キロにも感じた。力も例えようがないほど強かったが、負けられないと思い必死に殴ったり蹴ったりした。毛はゴワゴワしており、『ウウ〜』とクマの唸り声が聞こえたんだよ」(同前)

