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「7月の経費になるならCMすると広告代理店に言ったんですよ」
「広告代理店に反面調査させていただくかもしれません」
私がそう鎌をかけると柴田社長は不機嫌そうに「どうぞ」と言う。焦っているようにも平然としているようにも見える。この日の調査終了後に署に戻った私は統括官に復命のうえ、翌日、取引先である広告代理店に反面調査に行った。
広告代理店に反面調査に訪れると…
駅前のビルに入っている広告代理店を訪れ、受付で名前を名乗る。対応した女性の営業担当者は、私の突然の訪問に激しく動揺した。
「税務署の方がなんでしょうか?」
顔色は青ざめ、視線がキョロキョロと動き、不安そうだ。
「現在、株式会社ロードスターの税務調査をしています。この請求書にあるCMは8月中に放送されていますが、どうして請求日付が7月になっているのでしょうか?」
請求書のコピーを提示し尋ねる。
「私はいったいどうなるのですか? 逮捕されたりするんですか?」
女性営業担当は事の次第を理解できず、ただうろたえている。このままでは話が進まない。私は彼女に何が問題なのか丁寧に説明したうえでこう付け加えた。
「この件について、どうお答えになっても、あなたの身には何も影響ありません。調査しているロードスターの税金の額が増えるということにすぎません」