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総裁選討論会 “無意識の仕草”に隠された安倍首相の本音

一方の石破氏は、論戦の「盛り上げ」に失敗

2018/09/18

質問には答えたくないという無意識の反応

 安倍首相の方は、日本記者クラブ主催の討論会第2部で本音が見え隠れしていた。

 第1質問者が「安倍さんにお伺いしたい。真正面からお答えを頂きたい」と質問を始めると、咳払いした途端、手を合わせ、その手を口元に当てたのだ。真正面からは言いたくない、質問には答えたくないという無意識が、そうさせたのだろう。これはパフォーマンスではなく、無意識の反応である。隠された本音はこういう時に、ひょっこりと顔を覗かせるものだ。

 質問されたのはモリ・カケ問題を始めとした内閣支持率の低下について、なぜそうなっているのか、どうすべきなのかだ。首相はもみ手をしながら無難に返答。しかし続く質問でもモリ・カケ問題を突っ込まれると、不満そうな表情を浮かべて顎を引いた。自分を守りたいという感情が起きたのだろう。演台の上で組んでいた手は指の動きを止めていた。

 外交政策では、プーチン大統領の話になった途端、肘をつきそのまま手を組んだ。それまでは演台の上で手を組んでいたのに、この時ばかりは組んだ手が胸の高さにある。一説には組んだ手の高さは、ストレスや不安の高さに比例するとも言われる。「22回も会って、プーチン大統領は日本政府の考えを理解していなかったのか」と問われ、無理に作った、強張ったような笑いで不安や恐怖を隠していた。

得意分野では身振り手振りを交えて熱弁を振るった ©AFLO

真正面から答えることを避ける多彩なテクニック

 社会保障の質問では目をこすり、声のトーンが低くなる。他の討論会でも児童虐待の質問には目をこすった。これらの問題は経済問題などに比べ、得意分野ではないのだろう。ちなみに、ニコニコ動画の討論会の最後、「互いに認め合うところは」との問いにも目をこすった。

 拉致問題では、「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだとそう言われていた」と問われても、首相は無反応で目をつぶったまま。これを見ていた人はどう思ったのだろう。

 危うい質問には質問で返す、答えるまでに間があいたり、「えー」という言葉が多くなる。争点をぼかし、話をすり替える、冗長な説明をする。一度もという言葉を使って否定するなど、ここでは真正面から答えることを避ける多彩なテクニックが使われていた。