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“対立構図”に期待は高まっていたが……

 討論会の開催を石破茂氏は強く望み、安倍首相は回避したがっているとメディアは報じていた。「正直、公正」をスローガンに掲げ、それが森友・加計学園問題に絡んで安倍首相への批判だと党内で指摘されたものの、石破氏はスローガンをそのまま続行。そんな経緯があった討論会だけに、“対立構図”に期待は高まっていた。

 だが蓋を開けてみると、石破氏は、どの討論会でも国民に向け、丁寧に淡々と持論を説明していくという姿勢が目立つばかり。スローガンそのままの政治姿勢を貫いたと言えばそうなのかもしれない。

 盛り上がりに欠ける討論会は、避けたかった安倍首相にプラスでも石破氏にとってはマイナスだ。劣勢が伝えられる石破氏は“波乱”を起こせなかった。

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©AFLO

情熱的で力強くスピード感のある印象は弱くなった石破氏

 もともと石破氏は表情豊かに、様々な仕草や動作を使って自分をアピールするのが上手い政治家ではない。討論会では見せる仕草のパターンも多くない。大きな仕草や動作もあまりないため、発言を強調するような仕草によるインパクトが低い。じっくり聞かせるにはいいが、聴衆の感情に訴えるのは下手だ。手の振りも小さなものが多く話し方も重いため、落ち着いて肝が据わっている印象はあるが、情熱的で力強くスピード感のある印象は弱くなった。

 逆に、安倍首相は多様な仕草を使い分け、時に大きな手振りを使って話にインパクトを与える。「支援する」「伸びている」「成長」という言葉を使う時は、前へ上へと手を伸ばしていく。主張する際のパフォーマンスは慣れていて、掴み所が上手い。

 アベノミクスを始めとして、農業水準や地方の税収アップ、企業の求人倍率や雇用率のアップと効果や成果が出た政策等について話す時は、肘かけ椅子の肘に両手を置いて肘を張り、自分を誇示し優位性をアピール。演台を両手で掴み、自分を大きく見せることもしばしばだ。仕草や動作、話し方を見ても安倍首相は余裕綽々だった。

 なにはともあれ自民党総裁選の投開票は9月20日だ。