そうした話を聞いたあと、新聞各紙を読み比べていると、その先が見えてきた。
この問題で最も印象に残ったのは、読売新聞の動きだった。当初から読売は、「立法府の総意」を超える内容が法案に盛り込まれたことや、わずか3時間余りの審議で衆院を通過したことを問題視していた。
社説では、「数を頼んで一気呵成に成立を図るといった乱暴な行為は許されない」と厳しく批判した(7月9日)。
そして法案成立後はさらに踏み込み、「旧宮家から養子を取る制度は白紙に戻して再検討すべきだ」とまで主張した(7月18日)。
しかし、もっと興味深かったのは、その後である。
陛下は養子案に違和感を覚えられていたと…
読売は社説だけでなく、検証記事でも今回の法改正を掘り下げ始めた。養子制度こそが法改正の核心であり、女性皇族の身分保持も、養子制度への野党の理解を広げるための材料だったという見方を紹介した。
一方、朝日も、読売も、麻生氏が法改正で果たした役割を書き始めた。
そして読売は、政治過程だけでは終わらなかった。今度は政治家ではなく、皇室側の受け止めを書き始めたのだ。天皇陛下は2021年、養子案について説明を受けた際、「国民の理解が得られるのでしょうか」と懸念を示されたという。
複数の宮内庁関係者によると、陛下は養子案に違和感を覚えられていたという。さらに元宮内庁幹部は、「天皇家は旧宮家出身者を皇族として戻すことは想定していなかった」と証言している。
最初は、スポーツ紙からの「麻生の野望」という下世話なお題だった。最後には、皇室は今回の法改正をどう受け止めているのかという問いにまでたどり着いた。保守系の読売が、一番怒っていた。いや、保守系だからこそ、怒ったのか。
新聞は、事実だけでなく、ときどき紙面から感情まで伝わってくる。それが面白い。
