ペインポイントをいち早く見つける

 周囲の声に気を良くした私は、さらなる解決策を講じた。レビュワーの負担を減らすため、AIを使って楽にレビューができる「Review Skill」も自作し、周囲に配布した。そしたらレビューのスピードも上がって、どんどん承認されるようになった。

 これらの仕組みは、先にも触れたようなSkillsやスラッシュコマンドなどの合せ技で構築している。エージェントを使えば誰もができることで特殊なものではないが、ペインポイントをいち早く見つけて誰もやっていないレベルで徹底したわけだ。これはAIの使い方として、業種・業態を問わず一つの勝ち筋だと思う。

 一連の仕組みは、私一人で独占せず、チームの誰もが使えるようにシステム化し、誰でも恩恵を受けられるようにシェアしている。ポストAI時代はチームで強くなったほうが生き残れる確率が高くなるし、マイクロソフトにはコントリビュート(貢献)文化が行き渡っているから、シェアは自然なことなのだ。

ADVERTISEMENT

ポストAI時代にフォーカスしてデザインする

 最近エンジニアの方々からはよく、AI時代における専門職としての強みをどうつくっていったらいいのかを尋ねられる。ある種の専門知識が一夜にして陳腐化してしまうのだから、これからどこに自分のプロフェッショナルな軸足を置いたらいいのか戸惑う気持ちもよくわかる。

 求められる専門知識のレイヤーはどんどんシフトしていく。それこそプログラミングの黎明期にはかなりハードウェアの知識を踏まえてソフトウェアの設計をする必要があったし、バイナリエディターを使って0と1の機械語を読んでいたものだが、当然今はそんな専門知識は必要ない。

©AFLO

 すべてはポストAI時代にフォーカスしてデザインする必要があると私は思っている。プレAIとポストAIでは、ソフトウェアの設計そのものも、人が使いやすいと感じるユーザビリティも、社会の中で必要とされる機能もかなり変化していく。誰もがエージェントに指示すれば、スマホやPCが兼ね備えるすべてのことができる世界がもうすぐそこまで来ている。私たちのコミュニケーションの仕方そのものも大きく変わるかもしれない。だからアプリのあり方やユーザーインターフェイス(UI)も、従来の基準で「絶対これが便利」といった固定化した考えは持たないほうがいいと思う。