猛暑の中、予告なしで命じられた2トンの砲弾運びや大量のジャガイモの皮むき。極限の疲労と睡眠不足に追い込まれた3日間の雑務を経て明かされた、過酷な「入軍テスト」の真の狙いとは?

 元実業家の日本人兵士・金子大作氏が、ロシアの特殊部隊で経験した独自の記録を、新刊『ロシア軍の日本人兵士 最強の特殊部隊「アフマット」で見た地獄』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/続きを読む

写真はイメージ ©getty

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予告なしの「入軍テスト」

 ロシア軍の基地に来て最初に面食らったのは、ドネツクの気温だ。日本より緯度が高いから涼しいと思い込んでいたが、真夏のドネツクの最高気温は38度にまで上がった。

 そんな猛暑のなか、僕の「入軍テスト」は予告なく始まった。

「トラックに積む迫撃砲弾を2t運んでくれ」

 基地に到着した初日、いきなりこんな雑用を命じられた。見守り役なのか、隣には国防省の人間がつきっきりだ。1箱30kg以上ある迫撃砲弾が入った箱を次から次へとトラックに運んだ。

「サムライ、部屋に帰って休んでいいよ」

 そう言われていったん部屋に戻ったが、汗だくのシャツを着替えて一息ついていると、すぐさま別の雑用に駆り出された。今度は基地内の建築現場でブロックを積む作業だ。再び汗まみれになると、別の仲間が大きな声で名前を呼ぶ。

「サムライ、サムライ、ちょっと食堂に来て」

 ようやくご飯か……浮かれ気分で食堂に行くと、「ほい」とナイフを手渡された。