『世界100ヵ国の旅で出会った人たちが教えてくれた 人生で大切なこと』(旅人KAD 著)

 著者の肩書は旅人。もともと日本で建築士として働いていたが、あるとき突然、会社を辞めて旅に出た。特に大きな理由があったわけではない。著者いわく〈ただ、自分の中の小さな声を無視できなくなっただけ〉。そして今も、移住先を探して世界中を巡っている。

 訪問国数は100カ国以上。旅路で強く印象に残ったのは世界遺産でも絶景でもなかった。行く先々で出会った人々が不意に口にする何気ない一言。偉人でもなんでもない、異国のごく平凡な人たちとのささやかな対話の断片から、著者は人生で大切な数々のことを学んだという。そうした貴重な瞬間の言葉をSNSでシェアしていたところ、多くの反響を呼び、本書の刊行に繋がった。

「著者を知ったきっかけは、著者がオーストラリアを一緒に旅したドイツ人バックパッカーの『嫌われれば嫌われるほど自由になれる』という言葉を紹介したSNSの投稿でした。興味を持って過去の投稿も遡ったら、他にも良い言葉をたくさんあげていて、さらに著者が撮影した各地の写真もすごく綺麗だったんです。ぜひそうした言葉と写真を合わせた形の本を作りたいと思って、お声がけしました」(担当編集者の野村美空さん)

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 実際に完成した本も、〈離れていく人の背中にはあなたに与えたものが映っている。〉〈人生はサルサみたいなもの。ステップを間違えても止まらなければ音楽は続く。〉といった印象的なフレーズと写真を組み合わせた見開きと、それに続く小エッセイの計4ページほどでひとつの項目が構成されている。

 旅の風景を綴る著者のエッセイの筆致にもまた独特な魅力がある。

「著者の文章の押し付けがましくない感じも、読者に支持されている一因だと感じています。含蓄のある話のように書き進めながら、しっかりとオチがついていてクスッと笑える文章も多い。読んでいてどこか楽な気持ちになれるというか、ホッとする安心感があります」(野村さん)

 主な読者層は30代~40代の女性。『王様のブランチ』で取り上げられた影響などもあり、一定のペースで数字を伸ばし続けている。忙しい日々に癒しを与えてくれる、日常的に手に取りやすい本として愛されているようだ。

2025年12月発売。初版6800部。現在11刷5万6000部(電子含む)

世界100ヵ国の旅で出会った人たちが教えてくれた 人生で大切なこと

旅人KAD (かど)

ディスカヴァー・トゥエンティワン

2025年12月19日 発売