毎朝襲う謎の激しい下痢。内視鏡検査でも異常が見つからず途方に暮れる税務署員の「私」に、医師から告げられた「本当の病名」とは?

 過酷な業務とストレスの中で追い詰められ、身体の発するSOSに気づくまでの葛藤を、現役税務署員である大蔵主税氏の新刊『税務署員うつうつ日記』(三五館シンシャ)より一部抜粋してお届け。なお、登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/続きを読む

写真はイメージ ©getty

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原因不明の下痢

 私は原因不明の下痢に悩まされるようになった。

 朝、出勤しようとすると便意を催す。トイレに駆け込むと水のような便が出る。下痢になっている。もう大丈夫かとトイレから出て、身支度を整え直し、家を出ようとすると再び便意が襲ってくる。さっき出し切ったはずなのにトイレに座ると形のない水のような便が出る。そんなことを毎朝、何度も繰り返すようになった。

 なんとか出勤しても、つねに便意を感じる。腹の調子が悪く、日中はいつ暴発するかわからない爆弾を抱えて綱渡りをするような時間が続いた。

 また、夜になると日中の腹痛がよみがえり、翌日もまた同じことが起きるのではと神経が冴えてしまう。布団に入っても腹の違和感が気になり、眠りは浅く途切れがちになった。鏡に映る自分の顔色も日に日に土気色になっていくような気がした。

 私はまず大腸の異常を疑った。休日に大きな病院の消化器内科で大腸の内視鏡検査を受けた。医師は言った。

「腸はきれいで何も問題なさそうです。もしかすると精神的なものかもしれませんよ」

 家に帰って妻に相談すると、彼女はネットで精神科クリニックを調べてくれた。

 妻も毎朝下痢に苦しむ私を心配していたのだ。クリニックは近所にあり、ネット上の評判もいいという。私は妻に付き添ってもらい精神科クリニックを訪れた。

 白髪の医師に問われるまま、自らの症状を話した。毎朝の下痢に加え、不眠、倦怠感、食欲不振、頭痛、肩こりがあった。

 1時間にも及ぶ診察のあと、医師は私と妻を交互に見ながら淡々と言った。