※こちらは公募企画「文春野球フレッシュオールスター2026」の本戦出場作品です。おもしろいと思ったら「文春オンライン」文末のHITボタンを押してください。
【出場者プロフィール】アンゴラのうさぎ オリックス・バファローズ
多摩美術大学卒業後、イラストや陶芸などの作家活動を続けている。2024年にオリ姫デーをきっかけに野球観戦を始め、オリックス・バファローズを応援中。個人ブログで野球エッセイを書き、個人誌も制作・販売している。
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2024年春、きっかけはSNSでたまたま、オリックス・バファローズのオリ姫デーの広告を見たことだ。デカい図体のスタイルのいい、オリックスのプロ野球選手がオシャレなバンドマンの格好をしていた。
私自身運動神経が悪く、スポーツは全く関心がなかった。今までずっと野球は距離をおいていた。テレビでみるプロ野球は乱闘騒ぎが荒々しく、父親が荒れたり、延長して好きな番組が見れなくなる、いい思い出はなかった。唯一いい思い出は、日テレの『勇者のスタジアム』という好珍プレー番組が異常に編集が面白く、欠かさず見ていた。大好きな番組だった。
そんななんとなく怖いイメージで止まっていた私はすごく爽やかな令和の野球選手たちの写真にショックを受けた。その中で、でっかいコントラバスをもった巨大な選手が目に入った。衣装と楽器がやたら似合っていた。
彼の名前は、廣岡大志という選手だった。興味が湧き彼の名前を検索したら、たくさんの映像と写真が出てきた。野球って写真撮り放題なのもカルチャーショック。廣岡という選手は靴紐をやたら結んでいた。たくさんのムービーをいくつか見て、廣岡という男、かなり雰囲気がふんわりした感じの野球選手に見えた。
ある試合で水戸黄門のBGMが大爆音で流れる京セラで、全くクスリともしない廣岡というプロ野球選手の映像を見て、今プロ野球は面白いことになっているのではないか?と異常事態を感じ、ふんわりしたこの若者を見たい!とたった1人で野球観戦に初めて行くことにした。
廣岡を見たら、ずっと自分が悩んでいたものが薄れた
2024年6月5日、横浜スタジアムに向かった。初めての野球観戦で、試合終盤に代打でひょっこり廣岡は登場した。たしか打てなかったのだが、守備でキャッチボールをしたり、のっしのっし馬のように走っていて、私は初めて見るバケモン級の運動神経が良すぎる若い男のその姿に感動していた。周りのオリックスファンの方も雰囲気が良くて。初めてホームランも見れたり、大満足だった。
横浜スタジアムの帰り道、ずっと抱えていた不安や希死念慮が無くなり、子供の頃のようなフラットな気持ちに一時的になった。廣岡を見たら、ずっと自分が悩んでいたものが薄れたのだ。あの日の私は、野球場という場所で久しぶりに心が軽くなった。私の人生がなんだか前向きになりそうだ、と暗闇の部屋から光が差しこんだような気持ちになり、応援を始めたのだ。
観戦するために一軍にいてほしいなぁと初めてファンレターを送って、手紙がついた何日か後、京セラで偶然にも廣岡は3年ぶりのお立ち台に上がった。
2025年3月、初めてオリックスのキャンプに宮崎に行き、タイミングよく廣岡がいたので緊張してあまり覚えていないが差し入れとサインをしてもらった。

