――それでマスクを手放せなくなったんですね。
麻木 幼少期のトラウマも大きいのかもしれません。実は、小学1年生の時、学校から帰宅して玄関のドアを開けようとした瞬間、後ろから知らない男性に突然抱き上げられて、マンションの地下へ引きずり込まれそうになったことがあるんです。
本当に一瞬の出来事で、何が起きたのかも分かりませんでした。だけど、祖母がお守りとしてランドセルに付けてくれた鈴が鳴って、母がその鈴の音に気づいて駆けつけてくれたんです。
犯人は警察が来る前に逃げてしまい、結局捕まることはありませんでしたが、大学生くらいの若い男性だったことだけは、今でも覚えています。
その日はたまたま、母と習い事の見学へ行く約束をしていたので助かりましたが、もしあの日、約束をしていなかったら……。そう考えると、今でも怖くなります。その事件以来、男性に対する恐怖心が強くなり、学校へ行けなくなってしまった時期もありました。
「私はかわいくないんだ」と思うようになっていった
――幼い頃からさまざまな出来事を経験されてきましたが、その積み重ねが、ご自身の気持ちにも影響を与えたのでしょうか。
麻木 そうかもしれません。誘拐未遂やいじめなど、嫌な経験が重なってしまって、自分のことがどんどん嫌いになってしまったんです。
それに、周りにはかわいい子がたくさんいましたし、いつもその子たちと比べてしまって、「私はかわいくないんだ」と思うようになっていました。
――その頃に抱いた思いは、今も心のどこかに残っていますか。
麻木 今でも鏡を見るたびに、「今日もブサイクだな」「今日は外に出たくないな」と思ってしまう日があります。
もし、「自分のことが好きですか?」と聞かれたら、今でもすぐには「はい」とは答えられません。自分にしか分からないコンプレックスって、誰にでもあるものなのかもしれません。
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