「自分にまったく自信がなくて……周りの視線が本当に怖かったんです」

 そう静かに語ったのは、2016年の映画『イタズラなKiss THE MOVIE』でヒロイン・相原琴子を演じた麻木玲那(旧芸名:美沙玲奈)さん(32)だ。

 明るく前向きな主人公・琴子とは対照的に、学生時代の彼女は自分の容姿に自信が持てず、登下校中も教室でもマスクが手放せなかったという。

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 誘拐未遂やいじめ、誹謗中傷――。さまざまな経験を経て、「今も自分を好きだとは言えない」と話す麻木さんは、それでも少しずつ前を向き、現在は芸能活動を続けながらも実業家や裏方としての顔も持っている。

 ここでは、『イタズラなKiss THE MOVIE』主演女優として脚光を浴びた日々と、その裏で起きていた壮絶な体の変化、それでも「出演して本当に良かった」と思えた理由などを詳しく伺った。(全5回の3回目/最初から読む)

麻木玲那さん ©細田忠/文藝春秋

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知人から勧められて芸能界へ

――これまでのお話を伺っていると、人前に立つことに不安があったと思います。そんな中で、なぜ芸能界へ入ることになったのですか。

麻木玲那さん(以下、麻木) 当時はテレビもあまり見ていませんでしたし、好きな芸能人も特にいなかったので、芸能界にはまったく興味がありませんでした。そんな中、お世話になっていた方から「事務所に入ってみない?」と声を掛けていただいたのが始まりです。

「まずは雑誌のお仕事からやってみたら?」と言われて、「それならやってみようかな」と、本当に軽い気持ちでした。まさか、自分が芸能界に入ることになるなんて、それ以前は想像もしていませんでした。

――芸能界へ入られて間もない頃は、どのようなお仕事が中心だったのでしょうか。

麻木 「しゃべると子どもっぽく聞こえるから、あまり話さないほうがいい」と言われたこともあり、最初は雑誌のお仕事が中心でした。声がアニメっぽいと言われることが多くて、オーディションで「あなたは女優向きの声じゃないね」と言われることもありました。