近年は「政策」そのものより「誰が語るか」が支持を左右する「物語の政治(ナラティブ)」が語られることがある。今回の投稿も、政治家自身が「物語」を発信する一例のように思えた。

長年こだわってきた国旗損壊罪もそうだ

 もう一つ気づいた。この投稿が伝えようとしているのは、「骨太方針で何を変えたか」という政策ではない。最後の「明日から又、頑張れます!」まで含めて、情報より感情が前に出る文章だった。

 実は、この「まず感情から入る」という政治スタイルは、今回のXだけではないようにも思える。
 
 例えば、高市首相が長年こだわってきた国旗損壊罪もそうだ。「外国の国旗を損壊すると処罰されるのに、日本の国旗だけ処罰されないのはおかしい」。感情としてはわかりやすい。しかし刑法学者は、外国国旗損壊罪は外交関係を保護するための規定であり、日本国旗とは立法事実が異なると繰り返し指摘してきた。

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 奈良のシカの発言もそうだった。まずわかりやすい物語があり、その後から事実確認の議論が追いかける。今回のXも、そう読めた。

 木下秘書は説明を求められて陳述書を書いた。高市首相は共感を求めてXを書いた。一方では「記憶がありません」が繰り返され、もう一方では生活の細部が驚くほど具体的に語られる。説明を求められることはあまり語らない。共感を集めることは自分の言葉で詳しく語る。その対照は、いまの高市政治を考えるうえで印象的だった。

 もちろん、政治には物語も必要だ。支持者には思い入れも必要だろう。しかし、各メディアで支持率が下がっていると報じられた途端、首相のほうからわざわざ「物語」が発信されたことはとても興味深い。

 その「物語」を見て、「だから応援したい」と感じる人がまた増えるのか。それとも「これは寝言のようなもの」と一歩引いて眺める人が増えるのか。そのあたりも注目したい。

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