「容疑者Xの献身」や「白夜行」をはじめ、多くのベストセラー小説を生み出した作家の東野圭吾さんが7月23日、68歳で亡くなった。

 東野さんは2022年、自身の原作による映画「沈黙のパレード」の公開を機に、主人公の天才物理学者・湯川学を演じた福山雅治氏との対談を行っていた。現在発売中の「文藝春秋」2026年9月号に追悼再録された本対談から、東野さんが創作論について語った箇所を紹介する。(取材・構成 大矢博子)

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「ドラえもん」の構造

〈これまで(2022年9月時点)原作の「ガリレオ」シリーズは短編集が4冊、長編が6冊刊行されている。短編が連続ドラマの原作として映像化される一方、長編のうち『容疑者Xの献身』『真夏の方程式』『沈黙のパレード』は映画化、『聖女の救済』は前後編でのドラマ化、『禁断の魔術』は映画「沈黙のパレード」の公開に合わせてスペシャルドラマとして放送された。〉

 ——短編と長編、あるいはドラマと映画で、作り方にはどんな違いがあるんでしょうか?

 東野 短編の構造は長編とは違うんです。よく言うんですけど、基本的にこれは「ドラえもん」なんですよ。草薙がのび太で、ガリレオはドラえもん。厄介な事件があった時、草薙が「助けて、ドラえも~ん」とやって来る。「ガリレオ」の短編はそういう構造です。

 福山 映像化された最初の頃の草薙は自分の手柄や警察内での評価が欲しくて、解決できなそうなものを湯川のところに持っていく。湯川さんは、ドラマの第1シーズンから基本的に「僕は事件には興味はない」と言い続けているんだけども、ま、友達の案件だからやってみよう、となる。だけど、興味を持った事件に関してだけなんですけどね。

天才物理学者・湯川学を演じた福山雅治氏 ©2022 フジテレビジョン、アミューズ、文藝春秋、FNS27社

 そこで内海薫という若手の刑事が登場するようになり、草薙は自分ではなく、彼女を湯川さんのところに行かせるようになる。おそらく最初は、草薙もどれぐらいずる賢かったのか分からないですけど、内海にやらせておいて、事件解決したら上司には「僕がちゃんとやっておきましたので」というような感じだったんじゃないでしょうか。