――「あのとき検査を受けていれば」という後悔は、今まさに身体の不調を我慢している読者にとっても強い警鐘になりますね。
不破 正直、後悔はしています。最初は仕事のストレスが大きかった時期で、「胃の痛みもストレスかな」と思っていて、まさか自分がスキルス胃がんだなんて1ミリも疑っていませんでした。投薬治療で治らなかったとき、医師から胃カメラを提案された時点で健康診断を待たずにすぐ受けていれば、少しは胃を残せたかもしれません。私のガンは、そこから半年で胃を全摘するまでに大きくなってしまいました。 だから読者の方には、毎年の健康診断はもちろん、少しでも胃腸に不安があったら面倒がらずに胃カメラを受けてほしいと伝えたいです。
胃がなくても食べたり飲んだりはできますが、居酒屋やBBQでビールをジョッキで飲んで盛り上がったり、好きなものを思いっきり食べたりすることはもうできません。がんが寛解して長生きできたとしても、1日5〜6回に分けて食事をし、食べた後の腹痛や下痢、倦怠感といったつらい症状と一生付き合うことになります。スキルス胃がんは若い人もかかりやすい疾患だということを、みなさんにも知っていただきたいですね。
――診断を受けたときの状況を詳しく教えてください。
不破 健康診断を受けた同月下旬には職場に電話がかかってきて、「すぐに大きな病院へ行ってください」と言われました。職業柄、なんとなく察しはつくので「ガンですか?」と聞くと、先方は「まぁそんな感じです……」と言いづらそうにしていましたね。
翌日病院へ行って紹介状を書いてもらいました。職場に電話が来たとき、ほかの医療職仲間に評判を聞き回って、隣町に最先端機器が揃った実績のある病院があると知ったので、そこでの手術を希望したんです。
予想を超えていた「ステージIII」の告知
――当時はステージIIIだとは思っていなかったのでしょうか。
不破 ステージIIくらいだと思っていました。「リンパ節転移もないし、胃も残せるだろう」と。子どもたちにも「ママは胃がんだけど、そこまで心配しないでね」と話していました。
――ご家族の受け止め方はいかがでしたか。
不破 子どもたちはやはり心配してくれていましたね。夫は私よりもだいぶ悲観的で、「最悪の事態も考えないと」と言っていました。私が唯一気楽だったのは、すでに母が他界していたことでしょうか。きっと母が生きていたら相当心配をさせてしまっていたので、その点は変にほっとしました。
――手術までの間、不破さんが行ったことは。
不破 12月の手術まで好きな場所へ旅行へいき、美味しいものを食べました。きっと治療が本格的に始まれば好きなものを好きなだけ食べられることはないだろうと思っていたのですが、正解でした。



