「本当ならこの取材もビール飲みながら受けたいんだけどね」

  今年1月にステージ4の下咽頭がんが発覚した見栄晴さん(57)は、そう言いながらアイスティーを片手に3時間半、病気の一部始終を鮮明にお話ししてくれた。 ステージ4の咽頭がんは5年生存率が50%以下と言われ、「末期がん」に分類される。

  発覚した同月末、自身がMCを務める競馬番組で公表し、3回の入退院を経て初期治療を終え、現在は経過観察をしながら番組にも復帰している。

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「この日々が“走馬灯に出てくる”んじゃなくて、“相馬灯のように過ぎていった”感覚かな」と語る、怒涛のように過ぎ去った約3カ月の闘病生活のお話。(取材は5月末におこなった)

見栄晴さん ©文藝春秋 撮影・石川啓次

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検査をしたら先生の顔色が変わり「これはうちではちょっと……」

――今日は、同じご病気で悩まれてる方や見栄晴さんのファンに読んでいただくために、事細かにお伺いしてもいいでしょうか。

見栄晴 全然大丈夫ですよ。隠すくらいなら公表してないし。インスタグラムに癌の経緯を載せてたけど、そこに載せてないもっと大変なこともありましたから。

――ありがとうございます。まず、今年1月27日に『競馬予想TV!』で公表されましたが、実際はいつ、どんなタイミングで発覚したんですか?

見栄晴 最初に病院に行ったのは1月9日です。昔から紙タバコを吸ってたんだけど、去年IQOSに変えてから、なんか喉がチクチク痛いなと。魚の骨が刺さってるようなチクってする感じがあって、市販の薬を買いました。

――その痛みはIQOSを吸うタイミングで?

 

見栄晴 いや、吸ってないときも。昨年の11月、12月ぐらいから、 キンキンに冷えた生ビールを飲むと痛かったんですよ。でも、喉が慣れちゃうのか痛いのは1杯目だけなのでそのうち治るかなと。

 でも痛みがだんだん強くなって、痰が絡んだり声が枯れたりしてきて、全然治らなくて。「市販薬じゃダメなんだな……」と薬のせいにしつつ、でも他に異変はないから放っていたんです。

 年明けの8、9日に家族3人で日光へ旅行に行ったんですが、その帰りに地元の耳鼻科に行きました。そこで鼻から管を入れて検査をしたら、先生の顔色が変わって「これはうちではちょっと……」という感じで大きい病院を受診するように言われて。多分、先生は初見で癌ってわかってたんだけど、そこでは診断できないから断言せず、大きい病院を紹介してくれたんだと思います。

 説明を受けて帰ろうとしたとき、看護師さんが走ってきて「藤本さん、多分癌だと思うんで、そのことを伝えてすぐに予約を取ってください!」ってすごい強く言ってきたんです。