「娘にだけは『早期発見だった』って嘘をつきました」

――娘さん、現在は17歳でしたよね。

見栄晴 うん、高校2年生です。成人するまであとちょっとなんで、そこまではっていうのもありました。

――病院で「ステージ4の癌」と言われたことを、ご家族にはどういうタイミングでお伝えされましたか?

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見栄晴 検査が終わったのが14時ぐらいで、終わったら嫁から携帯に着信が来てたんですけど忙しくて気付かなかったんです。帰るときに電話して、嫁から「どうだった?」と聞かれて答える瞬間、初めて涙が出ました。

  ロビーから駐車場の精算に移動するまでのたった50mぐらいの間でしたけど、今でも覚えてる。やっぱりステージ4っていうのが自分の中でキツくて。嫁が泣いてるのもわかったし。(ノートを取り出して読みながら)「緊張してた」とも書いてあるから、たぶんそれが解けたんだと思います。

 

――それは日記帳ですか?

見栄晴 癌がわかってから、日々考えたことを書くようになりました。その日に癌かどうかがわかることは娘にも伝えてたんで、学校から帰ってきたらすぐに「どうだった?」って聞かれました。嫁にはステージ4だと伝えたんだけど、娘にだけは「早期発見だった」って嘘をつきました。嫁と相談して、癌とは言うけど進行度は言わないでおこうと。

――それはやはり心配させたくないという気持ちで。

 

見栄晴 そうです。僕は調べなかったけど、娘は心配してスマホで“喉の癌”でいっぱい調べちゃてたんですよ。だから、ステージ4の生存率がどうとかっていうのも多分見てるだろうと思って。早期発見って伝えたら娘は安心して泣かずに済んだから、それでよかったんだなと。

 それでもメディアでステージ4を公表する前には本人に伝えました。日記にも「こんなに娘に優しくされたことない」って書いてますね(笑)。