――ただ、実際には変わっていく外見に対して、少なからぬショックを受けた場面もあるのではないでしょうか。

不破 そのとおりです。体力がなくなって、運動もできなくなって、食べられる量も減って、体重は10キロ落ちました。抗がん剤で髪の毛も部分的に抜け落ち、ノーメイクでいると眉毛もまつ毛もない。自分の姿を鏡で見ることさえ、嫌になってしまいます。

――脱毛が進んで初めて鏡に映る自分を見たときは、やはり大きなショックがありましたか。

ADVERTISEMENT

不破 お風呂でシャンプーをしたとき、手にたくさん抜けた髪が絡みついて、ハッとしてシャワーで洗い流したことがありました。タオルで拭くと髪の毛だらけになってしまって辛いので、頭を拭くのは紙タオルに変えて……。朝起きると枕が髪の毛だらけになっていて、それを見るのもすごく嫌で、すぐにコロコロで掃除していました。

 髪が抜けた姿を家族にも見られたくなくて、最初は自宅でも帽子を被っていました。でも頭皮に湿疹ができてしまい、皮膚科で「通気性を確保してください」と指導されてしまって。今でも、自宅でウィッグをつけていない自分の姿を見ると「じゃがいもみたい」って思いますし、素頭にキャップで近所へ行くときは「サザエさんのカツオくんみたい」と思ってしまいます。「女の子らしいこと」を信条として生きてきたので、坊主頭の自分ではアイデンティティが保てていない感じがしてしまうんです。

 でも、ウィッグを被ってきちんとお化粧をすると、「あぁ私らしい、可愛いじゃない!」と思える。闘病中だからって「可愛くいたい」を諦める必要なんてないんです。

 

抗がん剤を飲み干す“自分へのご褒美”

――治療を前向きに乗り越える原動力はどこにあるのでしょう?

不破 究極は、自分のためかもしれないですね。私は旅行が大好きで、「つらい抗がん剤治療を頑張ったら、次の休薬期間に◯◯へ行こう」と思いながら治療を頑張っているようなところがあります。飲む抗がん剤を前にすると「気持ち悪くなるし毛も抜けるし手の皮も剥けるんだよなぁ……」と気が重くなります。でもそんな時は、「こいつを飲んでまた旅行に行くんだ!」と思いながら飲み干して、包装紙をゴミ箱に「えいっ」と投げるんです(笑)。

――これまでどのような場所に行かれましたか。

不破 胃がんになってからは、天橋立、熱海、沖縄、神戸、横浜、伊勢には2回ほど行きましたね。淡路島にも訪れました。あれ、こうやって数えると、抗がん剤の回数よりも旅行の回数のほうが多いかもしれません(笑)。