権力の横暴への叛逆
『闇の奥』から120年余、コンゴ独立から60年余。“闇”は形を変えて今もある。重苦しいテーマだが、2時間半を通し思いのほか「不思議な心地よさ」を感じさせてくれるのは、全編を貫くジャズの力で、まさに叛逆のサウンドトラックだ。ベルギー出身の監督が自国の闇を描いたところにも救いを感じる。
本作は2025年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた。伊藤詩織監督の『Black Box Diaries』と同じ時だ。実際に受賞したのは、パレスチナを踏みにじるイスラエルを告発する『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』だが、どの作品も「力ある者の暴虐」を描いている。そう思って観ると本作は、遠いアフリカの昔の出来事のようで、実は「権力の横暴」という今の日本にも通じるテーマで貫かれている。私たちも“叛逆のサウンドトラック”を奏でなければと気付かせてくれる映画だ。
『叛逆のサウンドトラック』
監督・脚本:ヨハン・グリモンプレ/出演:ルイ・アームストロング、ディジー・ガレスピー、アビー・リンカーン、マックス・ローチ、ニーナ・シモン、ミリアム・マケバ、ジョン・コルトレーン、デューク・エリントン、メルバ・リストン、エリック・ドルフィー、チャールズ・ミンガス、オーネット・コールマン、ル・グラン・カレ、ロック・ア・マンボ、ドクター・ニコ、マリー・ドールン“ザップ・ママ”、パトリス・ルムンバ、エディ・ウォーリー、ウィリス・コノーバー、ルネ・マグリット、アンドレ・ブルアン、ニキータ・フルシチョフ、イン・コリ・ジャン・ボファン、マルコムX、コナー・クルーズ・オブライエン、アレン・ダレス、ジョン・F・ダレス/2024年/ベルギー・フランス・オランダ/156分/配給:オンリー・ハーツ/© 2024 ONOMATOPEE FILMS BV, WARBOYS FILMS S.A.S., ZAP-O-MATIK, BALDR FILM,RTBF, VRT, JOHAN GRIMONPREZ/8月7日(金)より Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座、UPLINK吉祥寺他にて全国順次公開
