北海道の留寿都村で26万坪を地上げ
(1)勝ち馬にのれ
不動産投資では下手な物件を掴まされたり、思いもしなかったトラブルに巻き込まれたりするのはしょっちゅうだ。
「不動産投資で金持ちになろうとしてはいけません。金持ちになったら不動産投資をしましょう」と諭された人は多いだろう。
しかし、勝ち馬に乗ることでチャンスを掴むことができる。
例えば北海道のニセコ・ルスツエリアにある留寿都村でヴィラ(別荘)を売る男性がいる。仮にAとする。彼はこの地の将来性に目をつけ、大阪からやってきた。
そして11年かけて3000通の登記簿謄本をあげ、土地の所有者を明らかにし、お手製の「地主リスト」を作った。このリストを元に片っ端から会いに行き、交渉をした。地上げである。どの土地も今はまだ山林や原野だが、香港やシンガポール資本のラグジュアリーホテルに隣接している。Aは、この先の値上がりを見込んでいるのだ。手に入れた土地は26万坪。東京ドーム、約18.4個分だ。
彼はそこに複数のヴィラを建設し、宿泊ビジネスを展開している。ヴィラ1棟の価格は1億円程度で、投資家に販売する。投資家が得るリターンは、1泊45万円前後の宿泊料だ。月に10日予約が入れば、450万円が入ってくる。宿泊者の集客や運営、稼働後の建物管理、除雪作業まで、すべてAの会社が引き受ける。
3000通の登記簿購入とか、26万坪の地上げとかまず普通の人はやらない。Aからヴィラを買った数名の投資家に会ったが、本業は医者や会社員など不動産とは無縁の人が多かった。
「ニセコエリアがバブルになるずっと前から可能性を見出し、安い時に土地を買って果敢にヴィラを建てていくAさんの行動力にものすごいチャンスを感じました」
彼らはAという「勝ち馬」に乗り、自分ではできない不動産投資を託し、見返りを得ている。
(2)国策を狙え
4月上旬、私は鹿児島の離島、種子島にいた。今、種子島の沖合12キロメートルに浮かぶ無人島の馬毛島で、航空自衛隊の大型基地建設が進行中だ。種子島では、これに便乗した不動産バブルが起きている。
突如、安全保障の最前線となった種子島・西之表市には、全国から建設作業員が集まった。その数は4000人から6000人とも言われる。
これにより、工事関係者が住む場所の取り合いが起きた。島では、教職員、医療関係者、種子島宇宙センターで働くJAXA職員の住宅なども足りていない状況だった。極度の住宅不足解消のため、コンテナの中にトイレと風呂を置き、ベッドをしつらえた簡易的なコンテナハウスが島中に現れた。家やホテル代わりのコンテナだが、ざっと1500基が島外から運び込まれたと聞いた。
コンテナで月額家賃15万円
コンテナ1基の金額は、600万円。それを月額家賃15万円で貸す。ホテルの場合は、1泊8000円から1万円の設定だ。
試しに泊まってみたが、室内は14平方メートル程しかなく、狭い。海のそばに置かれているため、潮風でサビつき、建てつけが悪くなったドアを開けるのには一苦労した。夜中に大雨が降った時は、コンテナに叩きつける雨の音でまったく眠れなかった。それでもほぼ満室稼働中だ。コンテナに投資する50代の男性と会った。普段は東京にいるという。
「基地建設の予算は累計1兆4000億円超でっせ。これはイケると思って、すぐに動いたんですわ」
彼の判断は当たりだった。600万円の投資に対し、年間で180万円のリターンがある。30基持てば、5400万円が毎年入ってくる。30基といっても、投資額は1.8億円。東京の新築分譲マンション、1部屋分に過ぎない。
彼の話を聞き、私は、熊本や東京湾岸で見た局所バブルを思い出した。台湾の半導体メーカー・TSMCの工場周辺、東京オリンピックの元選手村・晴海フラッグでは不動産の爆上がりが起きていた。
晴海フラッグのマンションを3部屋買った投資家は、私に断言した。
「国策は買い」
官民合同プロジェクトだった晴海フラッグは、様々な恩恵を受けていた。例えば海に囲まれているにも関わらず、浸水想定区域に含まれていない。これは、防潮のための盛り土がされたからで、東京都はこうした基盤整備に、540億円をかけたという。民間の事業でそれだけの予算をかけることはとてもできない。
「国が動くということはとてつもない金が動く。だから投資として考えた時、国策は買いなんです」
タワマン1部屋の区分投資を
(3)大化け地域を探せ
70歳をゆうに超えているらしいが、ヴィトンのバッグは常に新作で、胸元、指、耳たぶにはいつも大きな真珠が上品に輝く女性がいる。都内の高級タワーマンション7部屋を持つオーナーだ。白金、高輪、広尾、六本木などどれも一等地ばかりだ。不動産投資のキャリアは50年を超える。結婚はせず、不動産収入で自立してきた。
この4月、彼女は家賃の値上げに成功した。前入居者の退去を機に、55万円から85万円へ、一気に30万円も上げたのだ。それでも新しい入居者はすぐについた。「赤坂タワーレジデンスTop of the Hill」の一室である。



