こうした状況全体をロシアの指導層は冷静に把握しています。彼らは、表向きは米国との対立を避けていますが、本音では米国との交渉など当てにしていません。まったく信用できないからです。

 現在、ウクライナの攻撃は、ロシア領内の民生インフラや民間人まで対象とし、「テロ攻撃」の様相を呈しています。

イランに追い詰められたトランプ大統領  ⒸCNP・時事通信フォト

 しかし、こうした挑発に乗って、人的損失も顧みず、最大限の動員をかけて全力で反撃すれば、それこそ米国の思う壺です。代わりにロシアは、「継戦の意志と能力」を示すために、ウクライナの首都キーウを始めとする主要都市に「見せしめ的な攻撃」を行なっています。

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チェスプレイヤーとしてのロシア

 これまでのところ、ロシアは、極めて慎重に、一つずつ駒を進めるように時間をかけて戦争を遂行してきました。大規模動員による「短期決戦」という選択肢を斥けて、ロシアが最優先したのは、兵士の犠牲を最小限に抑え、国民の日常生活を維持しつつ人的資源を温存することでした。つまり、当初から「持久戦」を想定していたのです。ポーカーで勝負を急ぐ米国に対し、ロシアは時間をかけることを厭わずじっくりと相手を追い詰めるチェスプレイヤーなのです(この点はイランも同じです)。

 実際、これまで「時間」がロシアの最大の味方となりました。しかし、永遠というわけにはいきません。私が当初から「ロシアは開戦から5年以内に戦争を終わらせるだろう」と予測していたのは、「5年後には動員可能な年齢層の人口が激減する」というタイムリミットが、あらかじめ見えていたからです。

 加えて、ロシアは、米国がイランを奇襲攻撃して以降、ウクライナ戦争とイラン戦争という二つの「戦線」のつながりを冷静に見極めようとしています。

※本記事の全文(約15000字)は、月刊「文藝春秋」8月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(エマニュエル・トッド「日本の米追従は自殺行為だ」)。 全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・イランの「離陸(テイクオフ)」の世界史的意味
・同盟国を破壊する米国――日本の米国追従は自殺行為

文藝春秋

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日本の米追従は自殺行為だ

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】高市早苗研究 裏切りと涙のサナエ劇場/米追従は自殺行為だ E・トッド/特集 70歳からが最幸

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