何事もリアルにやりたい梅宮辰夫

アンナ 父は、とにかく何事もリアルにやりたい人だったんです。お芝居もそうだし、バラエティもそう。例えば、ドッキリみたいな番組で急にお邪魔します、みたいな企画のときも、部屋に入るなり「なんでここに隠しカメラ用の花瓶があんだよ」とか「不自然にマイクが仕込んであるな」とか、全部言っちゃうんです。

 

 バラエティのトーク番組でも、スタジオに置いてあるのが水の入ったグラスだと分かると、「こんなもんで話が盛り上がるか。お酒を出してくれ」って本気で要求するんです。お酒を飲まないと楽しくないだろう、と。仕事をするっていう感覚じゃなくて、その場を心から楽しんで、リアルにやりたいっていうのが常にあったんですよね。

秋山 僕も一度だけ、長崎でフグの養殖をされている方を紹介してもらう、という旅番組のロケに一緒に行かせてもらったことがあって。もちろん、その養殖場も梅宮さんのお知り合いの方のところで。

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 夕方から、獲れたてのフグを使った豪華なフグ料理がずらっといっぱい出てきて、予定では、それをタレントがまず食べてリアクションだけ撮って、そのあと風呂に入るシーンを撮って、夜みんなでお酒飲みながら食べようっていう流れだったんですよ。

 で、夕方ぐらいに料理が全部並んで、いざ撮影が始まったんですけど、梅宮さんが急に箸を置いて、「よし、みんな食べろ」って、スタッフさん全員に向かって言い出して。

 スタッフさんも最初は「あ、いえいえ、撮影が終わってからいただきます」って遠慮するんですけど、梅宮さんはもう一回、ちょっと強い口調で「食べろ、食べろ。今が一番おいしいんだから、冷めちまうだろ」って。それでもカメラが回り続けてるのを見て、3回目に「いいから食べなさい。もう(カメラ)止めろ」って、収録を強制的に止めさせちゃったんですよ。

アンナ へー。やめさせたの(笑)。

秋山 そうなんです。そこでその日の収録が全部終わっちゃったんです。「よし、もう十分撮れただろう、今日は。あとはみんなで楽しむ時間だ」って。ディレクターも何も言えなくて。

アンナ そうなんだよね。全部自分で決めちゃう。

秋山 僕は内心「ラッキー、もう今日の仕事終わりなんだ」と思って、普通にフグをいただいて、一人で温泉入りましたよ。梅宮さんはもう部屋に帰って、すぐに寝ちゃってましたけど。豪快ですよね。

アンナ 父はよく言ってましたね。「どうしてこんなに長くカメラを回すんだ」って。「OKテイクが撮れたらそれでいいじゃないか。なんでもうちょっとシンプルにやらないんだ」と。「欲をかくな」みたいなことをずっと言ってて。それは、編集するスタッフさんのことも考えての発言だったんです。無駄な素材ばかりあっても大変だろう、って。

秋山 でも目の前の料理、やっぱ思うじゃないですか、こんな、いっぱいさばいてもらって。 たしかに食べることがまず第一だろって。

 僕もありますもん。「これ、どうすんの? もううまい時期逃したじゃん」みたいなのが。そういうとこまで考えていたんですよね。

写真=橋本篤/文藝春秋

次の記事に続く 「本当にパパがそこにいるみたい」対談中に“梅宮辰夫が降臨”…梅宮アンナがロバート秋山に託した、“バージンロードで歩く”という大役

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