2024年5月に右肺にがんが見つかり、翌年には左肺への転移が発覚した養老孟司さん(88)。養老さんが月刊「文藝春秋」9月号(8月10日発売)で、がんとの向き合い方、そして、いずれ訪れる「死」をどう受け止めるかについて明かした。
タチの悪い小細胞肺がん
はじめに養老さんが違和感を覚えたのは、しつこい肩の痛みだった。
「ひどい肩こりだと思って、鍼灸師の資格を持つ娘にマッサージをしてもらったのですが、一向に痛みが消えない。それどころか痛みは背中全体へと広がり始めました。『これはただの肩こりじゃねえな』と思い東大病院でCTを撮ったところ、右肺に肉眼でもはっきり見える3センチ程の小さな影が写っていた」
肺がんは、「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の二つに分けられる。生検の結果、養老氏のがんはステージⅡBの「小細胞肺がん」であることが判明した。
「60年以上タバコを吸ってきた身としては『無理もねえな』という気持ちです。小細胞肺がんは一般的には進行が早く、再発の可能性も高い“タチの悪いがん”として知られています。翌年に今度は反対側の左肺に小さな影が見つかり、転移だと診断されました」
「敵対しない方がいい」
小細胞肺がんの5年生存率は11.5%とされる。しかし、養老さんは、「人生はデータではない」と言い切り、こうがんを捉えているという。
「もうこの歳ですから、がんが治らなくても構いません。悪さをしなければそれでいい。よく『闘病』とか『闘う』という言葉が用いられますが、敵対しない方がいい。そもそもがんは自分にとって闘うべき『敵』などではないんです。自分の一部であることに変わりなくて、子どものようなものですよ」
そのうえでこう続ける。
「それに、どのみちいつか人は死ぬわけです。明日、交通事故に遭うかもしれない。諸行無常。川の流れと同じです」
そんな養老さんには今、残された人生で一つだけ願っていることがあるという――。
養老さんの考えが語られた「88歳の僕が、がんに教えられたこと」は、「文藝春秋」9月号(8月10日発売)および、「文藝春秋」の電子版「文藝春秋PLUS」に掲載されている。

