虐待を乗り越え、温かな居場所と愛する人を手に入れた青年。だが、その幸福は家に居座る1人の女性に踏みにじられる。借金を重ね家族を脅かす彼女と揉み合いの末、青年は殺人に手を染めてしまう…‥。平成24年に愛知県で起きた事件の発端に迫る。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/続きを読む

被害者と加害者の「奇妙な関係」とは…写真はイメージ ©getty

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少年院を経て更生した22歳男の不幸

 里中健志(当時22)は暴力的な父親とネグレクトの母親によって育てられた。小学生の頃から修学旅行などの学校行事には参加させてもらえず、中学生になると、学校近くで野宿する姿が頻繁に目撃された。

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 そんな姿を見かねた周囲の取り計らいで児童自立支援施設に入ったが、その頃から非行がひどくなり、窃盗事件を何度も起こして警察に逮捕され、ついに少年院に送られた。

 そんな里中を力強く救い上げたのは、保護司の男性だった。親とは比べ物にならない情熱で里中の更生に取り組み、里中の心を氷解させた。働く意味を教え、就職先を世話した。

 さらに同じ職場で知り合った恋人の宮田由貴さん(同24)の存在が里中の人生を一変させた。由貴さんは里中の理解者となり、将来の結婚を約束。由貴さんの実家で一緒に暮らすことになった。

 由貴さんの実家には父親と弟がいて、母親は出稼ぎしているなど、決して裕福な家庭ではなかったが、家族も里中を入り婿として迎え、戻る家のない里中にとって、由貴さんの家族は大事な存在になっていった。

 ところが、そこへひょんなことから入り込んできたのがA子さん(同25)だった。A子さんは由貴さんの学生時代の先輩で、体重100キロを超える巨漢の金髪女性だった。