※1「男子生徒の着替えを盗撮…容疑で高校教諭を逮捕 12人を動画撮影…部活終了後、合宿所の脱衣所内でスマホ向ける 教諭は生徒らの部活の顧問 別の不同意わいせつ事件で捜索、男性の画像を発見し事件が発覚」埼玉新聞2026年2月11日

私が担当したクリニックの受診者にも、男性をターゲットに盗撮を繰り返す会社員・後藤直樹氏(仮名)がいました。彼は男性社員寮への侵入を皮切りに、サウナや公衆浴場でも犯行を重ねていました。

当初、私は後藤氏の話を女子寮や女風呂での出来事だと思い込み、「どうやって女風呂に侵入したのですか?」と彼に問いかけました。

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「自分も被害者になるかも」という気づき

すると視線を落とし、「男風呂です」と明かしたのです。後藤氏は、中学時代から同性への性的指向を自覚しながらも、親や友人など周囲の人にカミングアウトできずにいました。

当然ながら、性的指向のカミングアウトは義務ではなく、個人の自由です。

誰に、いつ、どこまで、あるいは「一生しない」という選択も含めて、すべて本人に決める権利があります。しかし後藤氏は、「カミングアウトできない」という状況や、一般男性との性交渉の経験がないことを、ある種の生きづらさと感じていました。

性的マイノリティで、自らの性的指向を他者に打ち明けていない人は大勢いますし、彼らの多くは性犯罪に及びません。けれど後藤氏は、他者と触れ合いたくても触れ合えない葛藤や孤独感を解消するため、盗撮に及び、次第にのめり込んでいったのです。彼の話を聞いて以降、男性を性的対象にした男性盗撮加害者の相談を立て続けに受け、私自身の日常も一変しました。

クリニックや商業施設のトイレに入るたび、言いようのない居心地の悪さを感じ、気づけば不審なカメラが隠されていないか、不自然な穴が空いていないかなど、それとなくチェックするようになったのです。つまり、私も「いつ、自分が被害者になるかもしれない」という状況になって初めて、これまで享受していた特権を自覚した、というわけです。