だるまちゃんは、たくさんの子どもたちの集合体
「だるまちゃん」について、父はよくこう言っていました。「いろいろな子どもたちが頭の中に集まって、それがだるまちゃんになりました」と。
展示では、ほぼ全点の原画と最終版の下絵(したえ)を合わせてご覧いただけるようにしています。最後の下絵の段階でもまだ迷っている跡が見えます。例えば、てんぐちゃんは下駄を履いているので、その高さでだるまちゃんとちょうど目線が合うかどうか――そんなことを考えながら描いていたのだということが、下絵をご覧になるとお分かりいただけると思います。
子どもたちが目の前の遊びに夢中になっている姿に、父は惹かれていました。その一生懸命さ、その時その時を目いっぱい生きている姿こそが、大人になるうえで必要なものだと父は感じていました。
科学と子どもをつなぐもの――「どちらも正直だから」
私が小学生の頃、父が科学絵本を数多く手がけた理由について、あるとき新聞記者から「子どもと科学、一体どこに接点があるのですか」と尋ねられたことがあります。私はそばでその答えを聞いていました。
「どちらも正直だからです」。父はそう答えました。
子どもはいいものには引きつけられ、面白くないものからは逃げてしまう。科学も一つ間違えば正しい結果は得られない。草花で遊んでいて、しおれてしまったものを水に入れたら生き返った――その不思議に気づき、疑問を解決しようとするところから科学は始まる。公式や記号を覚えることが科学ではなく、目の前のものに違いを見つけて発見することが科学の本当の面白さ、醍醐味なのだと、父は伝えたかったのだと思います。父はそう考えて、科学絵本を描いたのでした。
「自分から興味を抱いたものを調べて、どんどん深めていく時の充実感というのは、その子の生きる喜びにもつながっているのでしょう。子どもの顔が急にいきいきと輝き出すのがわかります。」
(かこさとし著『未来のだるまちゃんへ』より)
子どもたちは、これから未来に向かって生きていかなければならない。自分の頭で考えて自分で判断することが大事です。そうできるようになるには、小さい頃の「遊び」も大切ですが、成長するにつれて、その先に「学ぶ」ということも必要になってくるのです。
