『だるまちゃんとてんぐちゃん』などの作品で知られる国民的絵本作家、かこさとし。初展示が目白押しの企画展「生誕100年 かこさとし展 生きるということは、本当は、喜びです」が、横浜・山手の県立神奈川近代文学館で9月23日まで開催中だ。「子どもが目の前の時間を精いっぱい生きること」「平和の大切さを自分の頭で考えること」というかこさとしの一貫したメッセージが伝わる展示である。
先月7月24日に開かれた内覧会では、長女の鈴木万里さんがその生涯と展示作品についてギャラリートークを行った。
語り手・鈴木万里(かこさとし氏長女)
構成・文春文庫部
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展示のテーマは、父が一冊の本に詰めこんだ「どうしても伝えたいこと」
「生きるということは、本当は、喜びです。
生きていくというのは、本当はとても、うんと面白いこと、楽しいことです。
……僕は、子どもたちには生きることをうんと喜んでいてほしい。」
私がこれらの言葉に出会ったのは、父の自叙伝『未来のだるまちゃんへ』でした。本のタイトルを決める際、父は「どうしても伝えておきたいことを一冊に詰め込んだ」と語っていました。
今回の展示会を企画するにあたって、私は長い時間をかけて父の遺した作品と向き合いました。「生きるということは、本当は、喜びです」というこの一文こそが父の人生全体を貫く思想だと直感し、本企画展のテーマとしました。
父は19歳で敗戦を迎え、態度を豹変させた大人たちに深く失望し、「もう何も信じられない」と打ちひしがれた日々を過ごしていました。しかし、これからの人生は、未来に向かって生きる子どもたちのためになるような手伝いをしたい――そう思い至ったときに一筋の光を見出し、父の人生は希望に向かって動き始めました。


