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2018/10/02

genre : ライフ, グルメ,

眩しい白い花が一面に広がる

 手短にお礼を言い、すぐ上のソバ畑を見に行くことにした。

 尾根に出ると小山田緑地の丘陵が一望できる。東京にも本当の空があったのだ。

農具館を出てソバ畑へ、尾根をのぼると小山田緑地が一望できる

 そしてその尾根の先の左手に、突然、眩しく白い花が咲きそろったソバ畑が目の前に広がった。

 世田谷区の次大夫堀公園民家園や練馬区あたりにも小さなソバ畑があると聞く。しかし、収穫物として苦労して栽培し、そば粉や乾麺「七国山そば」として提供し地域に定着してきた話を聞いた後では、町田のソバ畑はまた一つ違う重みがあるように感じられた。東京にも本当のソバ畑があったのだと実感した。

突然、眩しいソバ畑が現れる。118アール程が宅地を囲むように広がる
美しいソバの花。ここは信州かと見紛うが東京都町田市である

帰り道、どうしてもそばが食べたくなった

 もう一度、「ふるさと農具館」に戻り、乾麺の七国山そば(250円)、近隣で採れたナス5-6本(120円)、オクラ(100円)、ピーマン(100円)、栗(250-500円)などを買って坂を下った。

 歩きながら、どうしてもそばが食べたくなったので、薬師池公園の「やくし売店」に立ち寄ることにした。薬師池公園は天正5(1577)年に開拓がはじまったため池、薬師池がある公園で、地域の農業を古くから支えてきた歴史公園である。

薬師池公園へそばを食べに立ち寄ることに
藤棚の前にひっそりとある「やくし売店」
薄口醤油で作った本返しと白出汁系のつゆがすばらしい「きつねそば」(300円)

新宿から1時間もかからない旅

 女将さんに挨拶し、「きつねそば」(300円)を注文した。「やくし売店」は町田市の福祉事業の一環で昭和47年に始まった売店だそうで、今の女将さんが薄口醤油を使った本返しをつくり、出汁と合わせ濾して、透明できれいなそして滋味深いつゆを提供している。梅そば(300円)は人気メニュー。薬師池公園の緑と水面を見ながら食べるそばの味はまた格別である。

 新宿駅から1時間もかからない町田市の多摩丘陵。そして「ふるさと農具館」で地域農業の話を聞いて、ソバ畑に出会い、薬師池公園のそばで〆るという東京のソバと自然に出会う旅であった。薬師池公園は紅葉も有名である。深まる秋にまた再訪したいと思う。

INFORMATION

町田市ふるさと農具館

東京都町田市野津田町2288番地
開館時間 11月~1月 9:30~16:00
     2月~10月 9:30~16:30
定休日 月曜日(月曜が祝日の場合火曜日)


やくし売店

東京都町田市野津田町3270番地 薬師池公園
営業時間(そばうどん)10:30頃~15:30頃まで
定休日 火水、荒天の場合は臨時休業