取材対象を批判するためには十分に分析しなければならないが、擁護しようと思えば甘くなる――。8月15日の終戦記念日に関する各社の報道から、改めて浮かび上がったことだ。高市早苗首相の全国戦没者追悼式の式辞や靖国神社への対応をめぐり、政権に厳しいスタンスの新聞各社の解像度は高かった。他方で、「親高市」の産経新聞は天皇陛下の「深い反省」に言及しないなど、不可解な紙面作りをしていた。
幹事長の靖国参拝は「代役」
ファクトに基づく解像度が高かったのは日経だ。16日朝刊の5面で「靖国参拝 自民幹部が『代役』」との見出しで掲載した大型記事では、高市氏が参拝を見送る一方、自民党の鈴木俊一幹事長ら党幹部がそろって参拝したことを「代役」と指摘。そのうえで「鈴木氏は8月上旬には周辺へ参拝しない意向を示していたものの、一転して訪れた。自民党幹部のひとりは『首相も幹事長も行かないとすれば政権として持たない』との認識を示す」と報じた。
靖国に参拝するかどうかは政治家にとって極めて繊細な問題だ。一度は参拝しない方針だった鈴木幹事長が、高市氏の不参拝の判断に巻き込まれてしまった、「政治家・高市早苗」の問題である参拝の是非を党ぐるみの問題にしてしまった、と分析している。

日経新聞は高市政権に極めて厳しく対峙している。とりわけ消費減税については主要紙の中で最も批判的である。だからこそ、靖国参拝についても、無用に周囲を巻き込んだ今回の展開について、高市氏個人に端を発する政権の構造問題と見た。
「反省なんかしておりません」
かねて高市氏の保守的な政治姿勢に批判的な朝日新聞は1面のみならず、2面の全てを使って分析した。
「首相 にじんだ政治信条」との大見出しをとった記事では、高市氏が「戦争の加害責任をめぐる『反省』、『不戦の誓い』という言葉は使わなかった」と指摘。1995年に高市氏が国会で「少なくとも私自身は、当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております」と答弁したエピソードを上げ、自らの政治信条を式辞に盛り込んだと強調した。
さらに高市氏による「戦争の惨禍を、二度と繰り返させない」という表現を取り上げた。
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この続きでは「反高市」朝日の紙面、そして「親高市」産経の終戦記念日を巡る紙面について詳しく分析している。「週刊文春 電子版」で配信している。


