事故とは考えにくい。しかし…
要介護2とは、支えがないと立ち上がったり、歩けない状態を指す。食事や排泄などの場面では、見守りや手助けが必要になる。そして要介護3になると、食事や排泄だけでなく、着替え、歯磨きなどあらゆる場面で介助を必要とする。ベランダの手すりの高さは約120cmだった。しかも女性2人は、いずれも身長140cm台と小柄だった。
足が不自由で小柄な方々がベランダを飛び越えて自死する、はずがない――死亡者3人の要介護レベル、背丈や手すりの高さ、そのどちらからも事故とは考えにくかった。
ところが意外や、蓋を開ければ目撃者はおらず、監視カメラも設置されておらず、遺書もないことで捜査は暗礁に乗り上げていた。しかも、転落死があったすべての夜に勤務していた今井が「疑われているなという自覚はあったが、突き落としてはいない」と任意の取り調べで関与を否定したことで打つ手はなくなり、警察は司法解剖もせぬまま事故処理しようとしていた。
初動捜査では、警察は事故や自殺の可能性が高いとの観点から、殺人事件を扱う捜査一課との情報共有や連携要請をしていなかったという。そうしたこともありこの連続不審死は、よもや“迷宮入り”寸前だったのだ。
