プロフェッショナルなサンドラ・ン
――衣装や美術、小道具も印象的です。脚本の段階からイメージしていましたか?
ホー 私はもともとファッションを勉強していたので、衣装が大好きなんです。私にとって、衣装は「言葉のないセリフ」です。どんな服を着るかによって、その人物の性格や身分、感情まで表現できる。
サンドラの衣装は、最初は線が硬く、色も単調で、スーツのようなものが多い。でも恋に落ちてからは、柔らかな素材や彩りのある服が増えていく。具体的な衣装はスタイリストに任せましたが、方向性は脚本に書いていました。
――サンドラ・ンを演出する中で、印象に残っていることは?
ホー 彼女は本番直前まで「どこでランチしようかな」なんて世間話をしていても、本番になった瞬間に別人になり、豊かな感情を見せてくれる。本当にプロフェッショナルな俳優です。
面白かったのは、業界では彼女がよく遅刻することで知られているのに(笑)、クランクインの日は私より早く現場に来ていたことです。すでにメイクをしながら、「どんな芝居をしてほしいの?」「このキャラクターをどう考えているの?」と、まるで面接官のように質問してきた。たぶん新人監督の私を試していたんじゃないでしょうか(笑)。
――セリフを書くとき、何を心がけていますか?
ホー まず、そのキャラクターの口から自然に出てくる言葉であることです。映画を観ていると、「人間はこんなふうに話さないだろう」と感じるセリフがある。言葉を作り込みすぎて、リアリティを失うこともあります。
プロデューサーも私もナレーションが好きですが、ナレーションが多い映画は「高級ではない」と思われがちです。でも私たちには、高級かどうかという問題はありません。然るべきところでうまく使えているか、効果があるかどうかが重要です。

