垣添 がんと共生する人が増えているのに、告知という言葉もそうですが、この病気を特別視する風潮は昭和の頃から変わっていませんね。

 中川 日本人の多くは未だにがんに対する知識が乏しく、理解が不十分なんですよ。

 垣添 がんには、こうした無理解からくる偏見がまだある。いまでも、がんだと分かると会社を辞めさせられたり、「あの家はがん家系だから、結婚するな」と言われたりするケースがありますからね。

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がんは「教育が効く」

 中川 がん対策基本法では5、6年に一度「基本計画」という実行プランを作ることになっています。いまは、第4期目です。私も第2期で「がんの教育」を提言しました。

 というのも、偏見や特別視する問題ももちろん大事ですが、がんは生活習慣の見直しによる予防や、定期検診による早期発見が可能で、あらゆる病気の中で、もっとも備えられる病気と言われている。「教育が効く」病気なんです。にもかかわらず、日本人はがんについて知らなすぎるから、検診の受診率も国際比較で極めて低い。

「日本人はがんについて知らなすぎる」と中川恵一氏は指摘 ©文藝春秋

 垣添 これはほんとうに長年の課題ですね。欧米の受診率が80%と言われているのに、日本では40%台の部位が大半です。

 中川 日本人のがんに対するリテラシーがなぜ低いかと言えば、私は学校教育の中で医療がきちんと教えられていないからだと思います。私はこれまで約150カ所の小中高でがんの授業をしてきましたが、話を聞きに来るのは保健室にいる養護教諭。生徒に授業する保健体育の教諭はほとんど来ない。かねてから保健と体育を分離すべきだと主張してきましたが、「自分は体育の先生」という意識なんでしょう。

※この続きでは、「がん医療の今後」について語り合っています。約7000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年9月号に掲載されています(垣添忠生×中川恵一「死ぬならがんがいい」)。

■垣添忠生(かきぞえ・ただお) 1941年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒。75年から国立がんセンター(現・国立がん研究センター)に泌尿器科医として勤務。同病院長、総長を歴任。現在は名誉総長。主著に『妻を看取る日』

■中川恵一(なかがわ・けいいち) 1960年、東京都生まれ。東京大学医学部卒。同附属病院で放射線治療に携わり、緩和ケア診療部長も兼任。厚労省がん対策推進企業アクション議長も務める

文藝春秋

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死ぬならがんがいい

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作全文掲載 小砂川チト「ゾンビ回収婦」/「高市総理よ、日本を壊すな」細川護熙/がん15部位 早期発見ガイド

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