「95年の春先から請負で始めまして。90ccのスクーターにリアボックスを付けて都内をあちこち走り回っていました」

完全歩合制で報酬は月30~33万円ぐらい。

ただし社員ではないので社会保険はなし、自分で自治体の国民健康保険と国民年金に加入。仕事に必要なガソリン代、オイル代、その他のメンテナンス費用も全て自己負担。

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もらい事故をきっかけに職を失った

「報酬の3分の1ぐらい天引きしておかないと後々の支払いに困ることがあるので、給料というか自分の自由になるのは20万円。調子が良かった月は22万円ぐらいでした。生活はとりあえずちゃんとやれていた。バイク便ライダーは11年、54歳まで続けましたね」

時々、社員採用の仕事を探したが、まず年齢で弾かれる。採ってもらえそうな仕事は日給9000円前後のものばかり。これならバイク便ライダーの方がまだ良かった。

「自分の裁量でペース配分できるし、嫌な野郎と関わらなくていい。だからダラダラ続けちゃったんだな」

営業所では売上上位のライダーだったが、11年5月にもらい事故で左足の甲と肋骨2本を骨折する重症を負ってしまう。社員ではないから休業補償などなく、「治ったらまた来てください」でおしまいだった。

治療費と当座の生活費は相手の保険で賄われたが、怪我が治ったらバイク便に戻る気はなくなった。車と違ってむき出しで走っているから、事故があったら怪我や死亡するリスクが高い。急に怖くなった。

月15~16日働いて、5万円を稼ぐ

「職安に2カ月通って次に入ったのは不動産管理会社です。病院、学校、工場の用務員とかマンションの通勤管理人をやっていました。直接雇用で社会保険加入だったけど、時給はその年の最低賃金と同じだった。だけど単身だから食うに困るようなことはなかったよ」

1年ごとの雇用契約を繰り返して65歳まで続け、さらに半年間は半日パートで使ってもらった。自分が仕事を選べるような人間じゃないのは分かっているから、使ってくれたことには感謝している。