「娘たちの名前を挙げてね、『お母さんがおらんくなってどう思うか』と、子どもの気持ちをB男に想像させるわけです。で、じつはこの聴取の前に、娘さんに直筆の手紙を書いてもらっているわけですよ。それをタイミングを窺って読ませたりする。心の琴線に触れて、何かの一言が出てくるかどうかは大事ですから」

憑き物の取れた顔をしていました

 B男が自供を始めたのは、聴取2日目の午前中だった。

「すごく綺麗な落ち方というわけじゃなかったですよ。本来だったら落ちた場合は、自分が殺した云々が先に出てきますからね。そうではなくて、『死体を遺棄した場所を言います』ということでした。

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 とはいえ、実質的には殺しの告白です。憑き物の取れた顔をしていましたよ。やっぱり子どもたちにすまないと思ったんでしょうね。それで、遺棄現場を詳しく説明させるために、私が『本当に(図面を)紙に描くか』って聞いたら、『わかります。描きます』って。その流れで、『紙を持ってきてください』となったわけです」

 B男が地図を描いた死体遺棄現場への捜索はすぐに行われた。山中に深さ約3mもの穴が掘られ、その中にA子さんの遺体は埋められていたという。

©︎GYRO_PHOTOGRAPHY_イメージマート

「あまりに穴が深かったため、捜索は朝までかかった記憶があります。殺害は3年近く前から計画していたそうで、念入りな死体遺棄の状況からも、いかに完全犯罪を狙っていたかが伝わってくるものでした」

 後にB男が自供した殺害状況は、瓶でA子さんの頭を殴って昏倒させ、それから首を絞めて殺害したというものだった。

(※プライバシー保護の観点から、詳細については一部を変更しています)

小池勝孝(こいけまさたか)

株式会社・総合社会環境調査「アクセルコップ」代表取締役社長。元愛知県警警察官。捜査第一課、機動捜査隊、国際捜査課、薬物銃器対策課、所轄署刑事課長等を経て、警察署長を退官。フィリピン国内での放火殺人被疑者の身柄確保、取調べ。バスジャック犯人確保。死刑求刑事件等多数の凶悪事件捜査に従事。

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