「俺の親は売春婦だったんだ。だから俺はコカインの売人をするしかなかった」――沖縄育ちの作家・神里純平氏の新刊『あなたの知らない 怖い沖縄』(彩図社)に登場する、ある米兵の告白が衝撃を呼んでいる。
犯罪歴を持つ男が、なぜ沖縄の米兵に
神里氏が男と出会ったのは、2010年代半ば、基地内のレストランだった。肩から手の甲、指に至るまで物々しいタトゥーを入れ、口髭を生やしたスパニッシュ系の男――マイケルは、海兵隊の服装をしていながら、「どう見てもアメリカのスラムにいるコカインの売人にしか見えない」存在だった。
ところが声をかけてきたマイケルは意外にもフレンドリーで、その日のうちに連絡先を交換するほど打ち解けた。しかし交流を重ねるうち、神里氏はマイケルの「心の闇」を目の当たりにしていく。
深酒をしたマイケルが語ったのは、想像を絶する生い立ちだった。
「父親も誰かもわからない」「小学校すら行っていない」。貧困の中でコカインの売人となり、なわばり争いで「街中で銃をぶっぱなしていた」という。
服役を経て社会に出た際、保護司に海兵隊への入隊を勧められたマイケルは、「南の島に行けばいい生活ができる」という言葉を信じて沖縄へと渡ってきた。
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