「ずっと前から2階に上がるのを嫌がってね。だから私は10年以上、上がったこともなかったのよ」

 9年2カ月にわたって少女を自宅に監禁し続けた男の母親は、そう語った。2000年1月に発覚した「新潟少女監禁事件」。逮捕された佐藤宣行(当時37歳)はいかにして「怪物」へと変貌したのか。

「父親とは63歳差」両親から溺愛された長男

 佐藤は父が63歳、母が38歳のときに生まれた一人っ子だった。両親から溺愛され、望むものすべてを買い与えられて育ったが、小学校に入ると高齢の父親を同級生にからかわれ、深く傷ついた。

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 父が他界した後は、母親を使用人のように扱った。高校卒業後に就職した地元企業もわずか3カ月で退職し、そのまま引きこもり続けた。

写真はイメージ ©getty

 28歳のとき、佐藤は1990年11月13日に下校途中の9歳の少女をナイフで脅して車のトランクに押し込み、自宅へと連れ去った。

 2階の部屋に監禁し、セミダブルのベッドから動くことを許さず、命令に従わなければ殴打し、スタンガンで服従させた。食事もトイレも、すべてベッドの上だけで行わせた。

 事件発覚から数カ月後、ノンフィクション作家の八木澤高明氏は早朝4時にコンビニへ向かう佐藤の母親と接触し、自宅へと招かれた。彼女が明かしたのは、驚くべき実態だった。

 息子が2階に上がることを嫌がったため、母親は10年以上にわたって2階に足を踏み入れたことがなかったという。食事は階段に置いておき、入浴は月に1回ほど。トイレは2階にないため、佐藤はビニール袋で用を足していた。

 案内された監禁部屋には、天井のシャンデリア、セミダブルのベッド、ブラウン管のテレビ、日付ごとに整理されたベータビデオの歌番組が並んでいた。世間から隔絶された、異様な「世界」がそこにあった。その部屋を目にした母親が呟いた言葉は、「あの子には可哀想なことをしたねぇ」——どこか他人事のように。

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【本編はこちら】新潟県の民家から「9年間行方不明だった少女」が発見…《父親とは63歳差》引きこもり男性(37)を“誘拐犯”に変えた「特殊な家庭環境」(平成12年の事件)

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